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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0092A01: がいのちはあるにもあらず。いまはさだめてひさし
Z08_0092A02: からじ。わづかに水にある程。はかなくよろこぶけし
Z08_0092A03: きあれども。いまにくやしかるべきがごとく。(八〇)
Z08_0092A04: われらひさしく流轉のなみ(浪)につか(疲)れて。出
Z08_0092A05: 離のゑ(餌)にうえ(飢)たりし身の。たま〱名號
Z08_0092A06: のつり(釣)をえ(得)てのみぬ。苦海にあらん事。い
Z08_0092A07: まいくばくぞや。(八一)わづかにいのちのつきざら
Z08_0092A08: ん程。わすれず。となへんとするは。くるしきに〻た
Z08_0092A09: れども。前念にいのちをはらば。後念にすなはち往生
Z08_0092A10: せん。永劫の快樂こ〻ろよきにあらずや。物うき(懶)
Z08_0092A11: ことをわすれて。ねんごろに念佛すべし。(八二)おほ
Z08_0092A12: よそ(大凡)本願はさお(竿)(ほ)のごとし。名號はつり
Z08_0092A13: (釣)に〻たり。衆生の南無阿彌陀佛と〻なふるは。魚の
Z08_0092A14: ゑ(餌)をのみぬるにことならず。さればすでに大悲
Z08_0092A15: (ツリ)(ウド)。(むらきみ)本願のさお(ほ)よりたれたる。名號
Z08_0092A16: のつりをふく(含)みて。生死の深淵(ふかきふち)をい(出)
Z08_0092A17: でん事。さら〱うたがひあるべからす。(八三)さお
Z08_0092A18: ほ)にかけたるつりは。のむほどのうを〻えずと
Z08_0092A19: いふことなし。本願にたれたる名號なれば。となへん
Z08_0092A20: ほどのもの〻。うまれぬはあるべからず。(八四)ゑを
Z08_0092B01: もとめて。つりをのむまでは。わづかに魚のわざなれ
Z08_0092B02: ども。つりをかまへて魚をうる事は。さながら人のち
Z08_0092B03: からにあり。(八五)往生をねがひて名號をとなふる
Z08_0092B04: は。いさ〻か衆生のわざなれども。本願をかまへて衆
Z08_0092B05: 生をみちびくは。こと〲く佛のちからにあり。(八六)
Z08_0092B06: 極惡の機の。機たすけ給へと思て。心南無阿彌陀
Z08_0092B07: 佛と申すは。行機もつたなく。心もをろかに。行もい
Z08_0092B08: やしけれども。(八七)これをわづかに。ゑ(餌)をも
Z08_0092B09: とめ。つり(釣)をふくむほどのなかだちとして。(八八)
Z08_0092B10: 若不生者不取正覺と。ちかひ給ふ本願にすがりなば。
Z08_0092B11: さだめて往生せん事を。魚のいのちを。つりにまかせ
Z08_0092B12: たるになずら(准)へてみむ。(八九)か〻るを他力に
Z08_0092B13: 乘じて。往生すとはならふ也。(九〇)されば。この名
Z08_0092B14: 號のつりをのみぬるこそ。返々たのもしくおぼゆれ。
Z08_0092B15: (九一)極樂ならでは。いづく(何國)へかまかり(辭退)
Z08_0092B16: 待らん。(九二)なにもげに期(かぎり)といふ事がありけ
Z08_0092B17: るぞかし。(九三)このたびが。生死のかぎりにて侍り
Z08_0092B18: けるよと。(九四)いひあへず。(不敢)(九五)ことばもなみ
Z08_0092B19: だにと▲こほるけしき。(九六)ことはりにいりた〻ぬ
Z08_0092B20: 不入立)身なれども。たのもしくたうとくおぼゆ。(九七)

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