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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0090A01: ら稱念せば。かならず往生すべしといふ事をとの給
Z08_0090A02: へり。(二九)されば衆生の往生すべきによりて。佛は
Z08_0090A03: 正覺をとり。佛の正覺な(成)り給ふによりて。衆生は
Z08_0090A04: 往生をすべき也。(三〇)このゆへに。念佛申さんもの
Z08_0090A05: の往生せんずる事は。はやすでに。本願成就して。正覺
Z08_0090A06: な(成)り給ひし時より。ゆるぎなくさだまりてしか
Z08_0090A07: ば。(三一)我らをみちびき給ふべき佛の御方便は。も
Z08_0090A08: とより。した〻めまうけられたるを。(三二)た▲衆生
Z08_0090A09: のかたよりあやぶみて。(三三)身を本願にまかせか
Z08_0090A10: ねたる心の。なまざかし(生賢)さにこそ。(三四)けふ
Z08_0090A11: まで往生もと▲こほりぬれ。(三五)いまよりにても。
Z08_0090A12: 心をかず(不置)たのみをかけば。やがて本願には乘
Z08_0090A13: ずべし。(三六)本願にだにも乘じなば。又いのちをは
Z08_0090A14: らん時。かの國に生ぜん事。いさ〻かもうたがひある
Z08_0090A15: べからず。(三七)それにつきては。本願に乘じて往生
Z08_0090A16: すといふことはりをこそ。よく〱心えわ(分)くべ
Z08_0090A17: けれ。(三八)たとへば。(三九)孟宗といひしもの〻お
Z08_0090A18: やは。たかんな(筍)日本紀。をあい(愛)しけるなるべし。
Z08_0090A19: (四〇)ある冬のころ。せち(切)にこれをねがひける
Z08_0090A20: に。(四一)時しもあれ。心づき(開情)なしとおぼえぬ
Z08_0090B01: べけれども。(四二)孝養の心ざしねんごろなる子な
Z08_0090B02: りければ。(四三)雪いたく(甚)ふりつ(積)みて。(四四)
Z08_0090B03: あるべうもなき竹のなかにむかひゐて。(四五)せめ
Z08_0090B04: ての事に。(四六)なきゐたるほどに。と(時)みれば。
Z08_0090B05: (四七)さるべきころ(比)よりも。(四八)なをあざや
Z08_0090B06: (鮮)かなるたかうな。(笋)(四九)時のまにをひい
Z08_0090B07: (生出)でたりけむ。ふしぎ(不思議)なりける事ぞか
Z08_0090B08: し。(五〇)つら〱(熟)この事をおもふに。かぎり
Z08_0090B09: (期)ありて。(五一)をのれ(己)とを(生)(お)ふべき
Z08_0090B10: ころ(頃)ならば。夏のすゑざま(末樣)をこそまつ
Z08_0090B11: べけれ。(五二)これはしかし(倂)ながら。孟宗がねが
Z08_0090B12: ふ心のせち(切)なりしかば。そのねがひむなしから
Z08_0090B13: ずして。かなひしゆへに。を(生)(お)ふべくもなき時な
Z08_0090B14: れども。心ならずをひにける也。まめやか(眞實)に。ね
Z08_0090B15: んごろ(慇懃)なるねがひの。かなはぬ事は侍らぬに
Z08_0090B16: こそ。(五三)彌陀の本願もかくのごとし。我〓がうま
Z08_0090B17: るべくもなき事は。雪のうちのたかんなの。を(お)
Z08_0090B18: ふべくもなきに〻たれども。(五四)深重(ふかくおもし)の慈
Z08_0090B19: 悲よりおこりて。(五五)ねんごろなりし本願なれば。
Z08_0090B20: (五六)念佛せんものかまへて。(五七)わが國にうま

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