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Z0350 三部鈔諺註 縁起 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0004A01: はとおぼゆ。中にも老僧のいはく。法然上人第三回
Z08_0004A02: の佛事に。當伽藍にして。聖覺法印の講談。三心四修
Z08_0004A03: の沙汰。み〻にとまりぬるよしかたり給ふ。是を思
Z08_0004A04: 惟するに。百餘歲以前の事なり。如來の(ヘン)()うたが
Z08_0004A05: ひなしとおもひ。かくてやうやくあけ〻れば。いと
Z08_0004A06: ま申とて。修行者たち出ね。行末ゆかしくて。みをく
Z08_0004A07: り侍るに。明がたの霧のまぎれにみうしなひ侍る
Z08_0004A08: と。是又よのつねの人ともおぼえず。さるを其夜()
Z08_0004A09: ()せし諸人聽聞せずして。た▲向阿のみ見聞せし
Z08_0004A10: ぞ不思議なる。さてもか〻るいみじき聽聞のはし
Z08_0004A11: 〲。愚癡のともがらに。しらしめまほしけれど。佛
Z08_0004A12: 意いか▲とあやしみて。又當堂に參籠して。眞實の
Z08_0004A13: 佛勅なりせば。そのしるしをしめし給へ。筆記せん
Z08_0004A14: と祈請せしに。老僧吿給はく。もし法門になを不審
Z08_0004A15: あらば。嵯峨の淸凉寺に參詣すべしとて。筆を給は
Z08_0004A16: るとおもひて夢さめければ。掌の內に筆あり。その
Z08_0004A17: 後。(ゴウ)()にまかせて。ふるき願に事よせ。淸凉寺に
Z08_0004A18: 參籠し。七日も今宵ばかりと。ふけゆく空に老ごゑ
Z08_0004A19: にて。南無恩德廣大釋迦善逝と禮す。げに慈恩廣大
Z08_0004A20: にいますと。(キク)心までもよほすに。又釋迦は此方に
Z08_0004B01: 發遣すと(ジユ)せるをきけば。去年(コゾ)の秋。〓明がたの霧に
Z08_0004B02: みうしなひし。行衞ゆかしかりし修行者なり。今ぞ
Z08_0004B03: 釋迦の化現とおもひあはせて。いよ〱瑞夢たの
Z08_0004B04: もしく。今宵又いかなるありがたき事か。きかんと
Z08_0004B05: おもひけるに。人々あまたさしあつまりて。以前の
Z08_0004B06: 法門にもれにし事ども。かたりつくし侍ると。す
Z08_0004B07: でに佛勅ゆるされ。筆を給はるうへは。後代のあざ
Z08_0004B08: けりをかへりみず。兩度の法談。ありのま〻に。筆記
Z08_0004B09: して三部の()()(ガキ)とて。一部七册の抄をしるす。お
Z08_0004B10: そらくは。わが朝の佛說なるをや。()()()の事なれ
Z08_0004B11: ば。くはしくしるすにおよばず。さて又淸凉寺にし
Z08_0004B12: ては。夢中に桃李は一旦の榮花。松は千年のみどり
Z08_0004B13: なり。是れ彌陀一敎。利物偏增の義なりとて。松の枝
Z08_0004B14: を給はりをはんぬ。そも〱かの向阿と申すは。も
Z08_0004B15: とは園城寺の住侶。淨花房證賢とて。()(ソウ)の碩學な
Z08_0004B16: り。しかるに弘安十年。(カウ)(ネン)廿三にして發心し離山
Z08_0004B17: しけるが。如意寺の大門の柱に。
Z08_0004B18: おもひたつ衣のいろはうすくとも
Z08_0004B19: かへらしものよ墨そめの袖
Z08_0004B20: と。一首を書つけ。洛陽にいで。花開院五辻宮皇居頭註花開院。本在

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