浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0004A01: | はとおぼゆ。中にも老僧のいはく。法然上人第三回 |
Z08_0004A02: | の佛事に。當伽藍にして。聖覺法印の講談。三心四修 |
Z08_0004A03: | の沙汰。み〻にとまりぬるよしかたり給ふ。是を思 |
Z08_0004A04: | 惟するに。百餘歲以前の事なり。如來の變作うたが |
Z08_0004A05: | ひなしとおもひ。かくてやうやくあけ〻れば。いと |
Z08_0004A06: | ま申とて。修行者たち出ね。行末ゆかしくて。みをく |
Z08_0004A07: | り侍るに。明がたの霧のまぎれにみうしなひ侍る |
Z08_0004A08: | と。是又よのつねの人ともおぼえず。さるを其夜通 |
Z08_0004A09: | 夜せし諸人聽聞せずして。た▲向阿のみ見聞せし |
Z08_0004A10: | ぞ不思議なる。さてもか〻るいみじき聽聞のはし |
Z08_0004A11: | 〲。愚癡のともがらに。しらしめまほしけれど。佛 |
Z08_0004A12: | 意いか▲とあやしみて。又當堂に參籠して。眞實の |
Z08_0004A13: | 佛勅なりせば。そのしるしをしめし給へ。筆記せん |
Z08_0004A14: | と祈請せしに。老僧吿給はく。もし法門になを不審 |
Z08_0004A15: | あらば。嵯峨の淸凉寺に參詣すべしとて。筆を給は |
Z08_0004A16: | るとおもひて夢さめければ。掌の內に筆あり。その |
Z08_0004A17: | 後。吿夢にまかせて。ふるき願に事よせ。淸凉寺に |
Z08_0004A18: | 參籠し。七日も今宵ばかりと。ふけゆく空に老ごゑ |
Z08_0004A19: | にて。南無恩德廣大釋迦善逝と禮す。げに慈恩廣大 |
Z08_0004A20: | にいますと。聞心までもよほすに。又釋迦は此方に |
Z08_0004B01: | 發遣すと誦せるをきけば。去年の秋。〓明がたの霧に |
Z08_0004B02: | みうしなひし。行衞ゆかしかりし修行者なり。今ぞ |
Z08_0004B03: | 釋迦の化現とおもひあはせて。いよ〱瑞夢たの |
Z08_0004B04: | もしく。今宵又いかなるありがたき事か。きかんと |
Z08_0004B05: | おもひけるに。人々あまたさしあつまりて。以前の |
Z08_0004B06: | 法門にもれにし事ども。かたりつくし侍ると。す |
Z08_0004B07: | でに佛勅ゆるされ。筆を給はるうへは。後代のあざ |
Z08_0004B08: | けりをかへりみず。兩度の法談。ありのま〻に。筆記 |
Z08_0004B09: | して三部の假名書とて。一部七册の抄をしるす。お |
Z08_0004B10: | そらくは。わが朝の佛說なるをや。世流布の事なれ |
Z08_0004B11: | ば。くはしくしるすにおよばず。さて又淸凉寺にし |
Z08_0004B12: | ては。夢中に桃李は一旦の榮花。松は千年のみどり |
Z08_0004B13: | なり。是れ彌陀一敎。利物偏增の義なりとて。松の枝 |
Z08_0004B14: | を給はりをはんぬ。そも〱かの向阿と申すは。も |
Z08_0004B15: | とは園城寺の住侶。淨花房證賢とて。無雙の碩學な |
Z08_0004B16: | り。しかるに弘安十年。行年廿三にして發心し離山 |
Z08_0004B17: | しけるが。如意寺の大門の柱に。 |
Z08_0004B18: | おもひたつ衣のいろはうすくとも |
Z08_0004B19: | かへらしものよ墨そめの袖 |
Z08_0004B20: | と。一首を書つけ。洛陽にいで。花開院五辻宮皇居頭註花開院。本在二安 |