ウィンドウを閉じる

J2760 略伝集 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0531A01: 學び得たり遂に無上の眞理佛敎にあるにあるを知る
J18_0531A02: と雖も篤實謹行にして輕薄ならされは今時の僧侶多
J18_0531A03: く古人の如くならさるを悲しみ自己の機根を計り憚
J18_0531A04: りて容易く僧とならす江戸に至り芝三縁山中佛心院
J18_0531A05: に寄寓し學徒の爲に專ら儒書を講習す其自行には竊
J18_0531A06: に一食長齋專修念佛して行履久修業の僧に耻ちず年
J18_0531A07: 漸く不惑に至りて飯沼弘經寺妙瑞和尚の座下に親炙
J18_0531A08: して其敎誡を蒙り大に法澤を得たり於是深く感する
J18_0531A09: ことありて決定發心し乃ち大和尚を拜して剃染して定
J18_0531A10: 玄と號す彼山に掛錫し宗敎を薰鍊し解行勇進せり年
J18_0531A11: 﨟滿て後宗戒兩脉を禀承す幾何もなく大和尚入滅し
J18_0531A12: 給ひけれは師も叢林を辞して京に歸り始は華頂に寓
J18_0531A13: し後京極勝圓寺に留錫せり至る所常坐不臥專修念佛
J18_0531A14: 日も是れ足らす淨業の暇詩を賦し文を作り書を能く
J18_0531A15: して世の爲に珍敬せらる然れとも之に因て名を求め
J18_0531A16: す利を貪らす容易く他の求に應して少しも慢る色あ
J18_0531A17: ることなく謙遜にして愚を守れりかくて尾州國君の請
J18_0531B18: に應して八幡正法寺に住持せり於是名聲大に高しと
J18_0531B19: 雖も然れ共衣食を好ます調度を愛せす儉素節量もと
J18_0531B20: の如し寺務の暇入ては專修念佛し出ては衆の爲に宗
J18_0531B21: 部を講習討論す又自御傳語燈錄を日日輪讀して心行
J18_0531B22: を琢磨す之に因て御傳全部七言の偈頌となして草稿
J18_0531B23: を脱せり老後寺職を解きて山内松林院に隱居して心
J18_0531B24: 行益益勇猛なり文政二年己卯春老病に犯され氣力衰
J18_0531B25: へたれは命期の迫れるを覺りて二月晦日同山内隨往
J18_0531B26: 院に遷りて臨終行儀に入り翌三月朔日正午時高聲念
J18_0531B27: 佛して坐脱す世壽七十六僧﨟三十餘荼毘するに一つの
J18_0531B28: 臭穢なし人皆奇異の思をなせりと云ふ
J18_0531B29: 按るに師の行履持戒或淸淨一生不婬常坐不臥專修
J18_0531B30: 念佛誓て怠らず世味に貪着なく妄想妄念ある氣色
J18_0531B31: なし此故に想見するに一丁字を知らざる愚者の如
J18_0531B32: し一奇人と稱すへし余か先師佛定老人と莫逆の蓮
J18_0531B33: 友たり此故に親しく其行實を知れり。師晩年眉間
J18_0531B34: に白毫を生せり常の毛よりもふとくして其色珂雪

ウィンドウを閉じる