ウィンドウを閉じる

J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0379A01: いとたふとき事になむ。又或夜の夢に。御長三尺ば
J18_0379A02: かりの石地藏尊。變じて六尺許の金色の阿彌陀如來
J18_0379A03: と現じて。告ての玉はく。吾本地は阿彌陀なり。南
J18_0379A04: 無の南の字に。四十八願こもれりとの玉へりとぞ。
J18_0379A05: 抑。天台大師は。阿彌陀の三字に。空假中の三諦を
J18_0379A06: 配當せられたるによりておもへば。南に四十八願と
J18_0379A07: 告させ給ひけるも由ある事なるべし。又地藏尊の本
J18_0379A08: 地阿彌陀との給へる事も。此菩薩は。諸佛の因業を
J18_0379A09: 主り給へるより。法藏菩薩因位の姿と。古人のいへ
J18_0379A10: りしも。かかることわりを思へるなるべし。
J18_0379A11: 天明四年の春。母堂に對して。出家の望を申乞れけ
J18_0379A12: るに。母堂もかねて師の振舞。凡ならぬのみならず
J18_0379A13: 折折の好相などをもをがまれたる故に。今はしひて
J18_0379A14: 塵俗の中に留てんは。冥慮のほどもおそれありと
J18_0379A15: て。始て所望にまかせられき。師は年頃。神明佛陀
J18_0379A16: に祈請せられしも。唯この一事なりしを。漸にし
J18_0379A17: て。母堂の許されたることの。嬉しくかたじけなく
J18_0379B18: て。あはれ今日よりは。袈裟を被着して。形を賢聖
J18_0379B19: に同し。佛地を希求して。心。金剛の如ならんとぞ
J18_0379B20: 誓れける。即六月二十七日。財部村往生寺大圓上人
J18_0379B21: に就て。得度の式をうけられけり。そもそも華嚴經
J18_0379B22: に。菩薩發願して。生生世世。かならず沙門の身を
J18_0379B23: 受んと誓ひ玉ひ。善導大師は若非絶離囂塵。此德
J18_0379B24: 無由可證との給ひしにもかなひて。師のとしご
J18_0379B25: ろ出塵をこひ願ひ給へるは。定て宿世の本願なるべ
J18_0379B26: きをや。
J18_0379B27: 天明五年の春。大瀧川月正寺の住持。大良和尚とと
J18_0379B28: もに。三十の日夜を期して。經行念佛の別業をつと
J18_0379B29: めらる。寺の前に小丘あり。丸山といふ。縱橫二丁
J18_0379B30: 許めぐりて。細路あり是ぞよき道塲なるとて。晝は
J18_0379B31: 終日。木履にて常行を修し。夜は堂内にて禮拜せら
J18_0379B32: る。其間。炒麥一合を以て。一日の食料に充られ
J18_0379B33: き。第四日を經て。大良和尚ほ堪ずして。退出せ
J18_0379B34: り。師は聊も懈る事なく。三十日を滿ぜらる。羸相

ウィンドウを閉じる