浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J18_0379A01: | いとたふとき事になむ。又或夜の夢に。御長三尺ば |
J18_0379A02: | かりの石地藏尊。變じて六尺許の金色の阿彌陀如來 |
J18_0379A03: | と現じて。告ての玉はく。吾本地は阿彌陀なり。南 |
J18_0379A04: | 無の南の字に。四十八願こもれりとの玉へりとぞ。 |
J18_0379A05: | 抑。天台大師は。阿彌陀の三字に。空假中の三諦を |
J18_0379A06: | 配當せられたるによりておもへば。南に四十八願と |
J18_0379A07: | 告させ給ひけるも由ある事なるべし。又地藏尊の本 |
J18_0379A08: | 地阿彌陀との給へる事も。此菩薩は。諸佛の因業を |
J18_0379A09: | 主り給へるより。法藏菩薩因位の姿と。古人のいへ |
J18_0379A10: | りしも。かかることわりを思へるなるべし。 |
J18_0379A11: | 天明四年の春。母堂に對して。出家の望を申乞れけ |
J18_0379A12: | るに。母堂もかねて師の振舞。凡ならぬのみならず |
J18_0379A13: | 折折の好相などをもをがまれたる故に。今はしひて |
J18_0379A14: | 塵俗の中に留てんは。冥慮のほどもおそれありと |
J18_0379A15: | て。始て所望にまかせられき。師は年頃。神明佛陀 |
J18_0379A16: | に祈請せられしも。唯この一事なりしを。漸にし |
J18_0379A17: | て。母堂の許されたることの。嬉しくかたじけなく |
J18_0379B18: | て。あはれ今日よりは。袈裟を被着して。形を賢聖 |
J18_0379B19: | に同し。佛地を希求して。心。金剛の如ならんとぞ |
J18_0379B20: | 誓れける。即六月二十七日。財部村往生寺大圓上人 |
J18_0379B21: | に就て。得度の式をうけられけり。そもそも華嚴經 |
J18_0379B22: | に。菩薩發願して。生生世世。かならず沙門の身を |
J18_0379B23: | 受んと誓ひ玉ひ。善導大師は若非絶離囂塵。此德 |
J18_0379B24: | 無由可證との給ひしにもかなひて。師のとしご |
J18_0379B25: | ろ出塵をこひ願ひ給へるは。定て宿世の本願なるべ |
J18_0379B26: | きをや。 |
J18_0379B27: | 天明五年の春。大瀧川月正寺の住持。大良和尚とと |
J18_0379B28: | もに。三十の日夜を期して。經行念佛の別業をつと |
J18_0379B29: | めらる。寺の前に小丘あり。丸山といふ。縱橫二丁 |
J18_0379B30: | 許めぐりて。細路あり是ぞよき道塲なるとて。晝は |
J18_0379B31: | 終日。木履にて常行を修し。夜は堂内にて禮拜せら |
J18_0379B32: | る。其間。炒麥一合を以て。一日の食料に充られ |
J18_0379B33: | き。第四日を經て。大良和尚ほ堪ずして。退出せ |
J18_0379B34: | り。師は聊も懈る事なく。三十日を滿ぜらる。羸相 |