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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0304A01: 不明。己眼若明。雖獨對聖僧喫飯。又何慊
J18_0304A02: 焉とみつべしそのただ道德を樂欲すること。今人
J18_0304A03: の名利を祈求するにひとしきを。志士重慚愧を生
J18_0304A04: じ。師の地藏尊に祈念せる。その意今人にくらべ
J18_0304A05: ていかんと思惟すべし。
J18_0304A06: かくて澆末の弊風。破戒滿州の懸記に應ぜるありさ
J18_0304A07: まを見聞して。心志安からず。これによりて護法の
J18_0304A08: 志願涌がごとく。律身淸嚴。雪きよく。梅かぐはし
J18_0304A09: といふべし。自他の知識に參じ。身心を琢磨し。聖
J18_0304A10: 淨二門の深底を探りて。如來の正法を光顯す。吉水
J18_0304A11: の正風を扶起して。普く群生の救濟せんとちかひ
J18_0304A12: て。野鶴孤雲の遊戯するがごとく。法のひかりをか
J18_0304A13: かげんと。しらぬ火の筑紫かたにいたり。二祖鎭西
J18_0304A14: 上人の芳跡をとふらひ。吉水正流のもとの心をけが
J18_0304A15: さしとねがひ。金光上人の遺蹤にいたりては。光明
J18_0304A16: の餘輝末の世に消ざることを欲し。道情いやまし、
J18_0304A17: に。修行さらに怠ることなし。その頃日向國に。古
J18_0304B18: 月禪師といへる。臨濟家の碩德あり。篤實謹行の
J18_0304B19: 聞え高き。明眼の老宿なりけり。師かしこにいたり
J18_0304B20: 相見して。佛祖不傳の頥をさぐり。西來直指の活法
J18_0304B21: を會得し。自己密證の眞理を打開せられしかば。禪
J18_0304B22: 師稱歎して。師が所入の深きを許可證明せられけ
J18_0304B23: り。一朝茶話のちなみ。禪師語ていはく。長門國。
J18_0304B24: 厚狹郡。妙慶寺の雲説和尚は。淨家の眞善知識にし
J18_0304B25: て。念佛弘通の大導師なり。彼は實に地藏菩薩の化
J18_0304B26: 現なり。師何ぞ往て拜せざるやとまうされしゆゑ。
J18_0304B27: それより歸路。長門にいたり。妙慶寺を訪ひ。和尚
J18_0304B28: を拜して。淸益策進せらる。
J18_0304B29: 評云。昔閭丘胤。たまたま豐干禪師にあふ。禪師
J18_0304B30: しめしていはく。國淸寺の寒山。拾得は文殊普賢
J18_0304B31: なり。台州にいたらば相見せよといへり。胤かしこ
J18_0304B32: にいたり。二人を禮拜す。二人呵呵大笑云。豐干
J18_0304B33: 饒舌饒舌。彌陀をしらずして。我を禮して何にかせ
J18_0304B34: んといひてされりとなん。古月禪師人に向ては。

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