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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0120A01: まり。すなはち筆を秉てこれをしるしをかれ侍る。
J18_0120A02: しかしより後は。持戒の心をやめて。只凡僧の身に
J18_0120A03: て念佛せられ侍りき。師平生元祖大師の禪勝上人に
J18_0120A04: 示し給へる御詞に。現世を過べきやうは。念佛の申
J18_0120A05: されん方によりて過べし。念佛の障りになりぬべか
J18_0120A06: らん事をは厭ひ捨べしと宣たまへるを。深く心に留
J18_0120A07: て。その如く身を進止せられけり。
J18_0120A08: 今私に案するに。念佛者の中に。持戒念佛の機あ
J18_0120A09: り。但念佛の機あり但念佛の人も。廢惡修善の正見を
J18_0120A10: 具したる上に。彌陀別意の弘願を信する事なり。惣
J18_0120A11: じて念佛の行者。戒の有無。見の邪正等の事。ここ
J18_0120A12: に盡すべきにあらす。具に洞空上人の淨土護法論に
J18_0120A13: 辨ずるが如し。因に記主禪師。曾て世人の念佛者に
J18_0120A14: 廢惡の義なしといへる謬を論じて宣へることあり。然
J18_0120A15: るに念佛者。心を淨土に係て。一萬十萬を勤行する
J18_0120A16: の時。或は安心に制せられ。或は起行に防がれて。
J18_0120A17: 三毒しばらく息み。七支身三殺盜婬口四妄語綺語惡口兩舌也おこらず。豈
J18_0120B18: 念佛に廢惡を具するにあらずや。然りといへども。
J18_0120B19: 凡夫具縛の行人なれば。しばしば退ししばしば起
J18_0120B20: る。この惡を治せんか爲に。隨犯隨懺するなりと
J18_0120B21: 玄記三稱名の行人よろしくこれを思ふべし。今無能和
J18_0120B22: 尚曾て制誡七十二件を錄して。みづから心行の警策
J18_0120B23: に備へ。逐一にこれを依行せられ侍りき。其錄下卷
J18_0120B24: に載るが如し
J18_0120B25: 一師日課念佛十萬有餘。一萬聲ごとに。ことさら發
J18_0120B26: 願回向を用ひられけり。師語りていはく。日課を勤
J18_0120B27: むるに。堅く數を記すれば。定課の外。餘分を勤め
J18_0120B28: 勵すに。勇みあり。この故に固く數を認るなりと。
J18_0120B29: 餘人にもかく勸められ侍る。これに依て。師最初發
J18_0120B30: 心より以來。日課の數を記し置て。惣數を計られけ
J18_0120B31: る。これ惠心永觀なとの先蹤に俲ふよし申されき。
J18_0120B32: 甞て七日別行の内。百萬遍を成滿せられし事六箇
J18_0120B33: 度。師一生自修の念佛通計するに。大凡三億六千九
J18_0120B34: 百三十萬徧なり。億に四等あり。今は萬萬を一億と

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