浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0696A01: | を遂るの類是なり。 |
J17_0696A02: | ○或時京都の守護板倉伊賀守來りて上人に謁し。深 |
J17_0696A03: | く歸依の心を發し。隨從の大衆を後代の故障なから |
J17_0696A04: | しめんが爲にとて。制札を寄附せられける彼自筆の |
J17_0696A05: | 制札今現にあり。法化日日に盛にして道俗男女步を |
J17_0696A06: | 運ぶ者幾千萬といふ數をしらす。仍て商賈の輩。門 |
J17_0696A07: | 前に茶店を並べ。山中さながら驛路の如し。其時茶 |
J17_0696A08: | 店を營たる輩。直に住居して相續し古知の茶屋村と |
J17_0696A09: | いふ。上人の勸誘によりて。都鄙の貴賤惡を廢し善 |
J17_0696A10: | を修し。捨家棄欲する者多し。山居隨從の僧七十口 |
J17_0696A11: | に餘れり。各各樹下石上の意樂に住し。如法念佛す |
J17_0696A12: | るさまいと殊勝なりき。 |
J17_0696A13: | ○又上人印文とてかくの如き物を自から彫刻 |
J17_0696A14: | し常に諸人に授けらる。此印文を願ふ者には必す日 |
J17_0696A15: | 課念佛を授け五辛を斷させ給ふ。又上人御意を留さ |
J17_0696A16: | せられ或は恭敬し給ふものには何にても此印文を居 |
J17_0696A17: | 給へり。定めて深き子細あるへし。臨終に狂亂する |
J17_0696B18: | 輩此印文を戴きて正念に成り往生するもの又多し。 |
J17_0696B19: | ○當寺山内不出の祕書三通あり。第一は神道の祕傳 |
J17_0696B20: | なり。是則ち五社の神所傳の大事なり。第二は葷酒 |
J17_0696B21: | の誡文なり。此事釋尊の所制なりといへども。いま |
J17_0696B22: | また彌陀覺王の別勅を受て誡め給へるその文なり。 |
J17_0696B23: | 第三は上人三國受生の事跡なり。 |
J17_0696B24: | ○大凡上人一期の行狀質朴にして花美にわたらず。 |
J17_0696B25: | 衣物は布木綿紙子に過ず。食物は抹香に松の甘皮を |
J17_0696B26: | 合せて石臼にて搗。是を丸となして食し給ふにいた |
J17_0696B27: | る。其石臼今現に在て靈寶たり。一生威儀嚴肅にして |
J17_0696B28: | 三衣を護持し暫くも離し給はず又徒衆の爲に七十三 |
J17_0696B29: | 箇條の制誡を作つて敎示す。實に内外具足の大導師 |
J17_0696B30: | なり。又時時和歌を詠じて法門を揭示し給へる事あ |
J17_0696B31: | り。是則ち我國の風俗に準じて衆生を引接するの手 |
J17_0696B32: | 段なるべし。又近きあたりの樵夫或時巖窟に詣けれ |
J17_0696B33: | ば持たる鎌にて彌陀の像を作りて與へ給ふ是を鎌佛 |
J17_0696B34: | といふ。在の民家往往にこれあり。當山にも或人 |