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J2540 弾誓上人絵詞伝 宅亮 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0696A01: を遂るの類是なり。
J17_0696A02: ○或時京都の守護板倉伊賀守來りて上人に謁し。深
J17_0696A03: く歸依の心を發し。隨從の大衆を後代の故障なから
J17_0696A04: しめんが爲にとて。制札を寄附せられける彼自筆の
J17_0696A05: 制札今現にあり。法化日日に盛にして道俗男女步を
J17_0696A06: 運ぶ者幾千萬といふ數をしらす。仍て商賈の輩。門
J17_0696A07: 前に茶店を並べ。山中さながら驛路の如し。其時茶
J17_0696A08: 店を營たる輩。直に住居して相續し古知の茶屋村と
J17_0696A09: いふ。上人の勸誘によりて。都鄙の貴賤惡を廢し善
J17_0696A10: を修し。捨家棄欲する者多し。山居隨從の僧七十口
J17_0696A11: に餘れり。各各樹下石上の意樂に住し。如法念佛す
J17_0696A12: るさまいと殊勝なりき。
J17_0696A13: ○又上人印文とてかくの如き物を自から彫刻
J17_0696A14: し常に諸人に授けらる。此印文を願ふ者には必す日
J17_0696A15: 課念佛を授け五辛を斷させ給ふ。又上人御意を留さ
J17_0696A16: せられ或は恭敬し給ふものには何にても此印文を居
J17_0696A17: 給へり。定めて深き子細あるへし。臨終に狂亂する
J17_0696B18: 輩此印文を戴きて正念に成り往生するもの又多し。
J17_0696B19: ○當寺山内不出の祕書三通あり。第一は神道の祕傳
J17_0696B20: なり。是則ち五社の神所傳の大事なり。第二は葷酒
J17_0696B21: の誡文なり。此事釋尊の所制なりといへども。いま
J17_0696B22: また彌陀覺王の別勅を受て誡め給へるその文なり。
J17_0696B23: 第三は上人三國受生の事跡なり。
J17_0696B24: ○大凡上人一期の行狀質朴にして花美にわたらず。
J17_0696B25: 衣物は布木綿紙子に過ず。食物は抹香に松の甘皮を
J17_0696B26: 合せて石臼にて搗。是を丸となして食し給ふにいた
J17_0696B27: る。其石臼今現に在て靈寶たり。一生威儀嚴肅にして
J17_0696B28: 三衣を護持し暫くも離し給はず又徒衆の爲に七十三
J17_0696B29: 箇條の制誡を作つて敎示す。實に内外具足の大導師
J17_0696B30: なり。又時時和歌を詠じて法門を揭示し給へる事あ
J17_0696B31: り。是則ち我國の風俗に準じて衆生を引接するの手
J17_0696B32: 段なるべし。又近きあたりの樵夫或時巖窟に詣けれ
J17_0696B33: ば持たる鎌にて彌陀の像を作りて與へ給ふ是を鎌佛
J17_0696B34: といふ。在の民家往往にこれあり。當山にも或人

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