浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0674A01: | す然に木像忽然として二尺六寸計の坐像金色の阿彌 |
J17_0674A02: | 陀佛と變し金蓮華に坐し玉ふ後光は立雲のことく座 |
J17_0674A03: | は九重なり皆金色にして莊嚴微玅なる事言を以て宣 |
J17_0674A04: | かたく其阿彌陀佛靑蓮の御眥を回し頻婆菓の御唇を |
J17_0674A05: | 搖し頻伽八辯の聲を出し我は是久遠劫以來の佛なり |
J17_0674A06: | との給ふ是人法子身の毛いよたち感涙しきりに降る |
J17_0674A07: | と覺えて夢はさめけり法子は愈信心决定して此尊像 |
J17_0674A08: | を全佛のことく敬ひ奉りぬいでや上人凡人にあらす |
J17_0674A09: | 濁惡の衆生を濟度せんと大悲の餘りに今此日域に降 |
J17_0674A10: | 誕し玉ふか爲度裟婆分化入の心ならん故に緇白傳に |
J17_0674A11: | 云上人は恐くは是凡人にあらす大聖の應現ならん歟 |
J17_0674A12: | といへりまさにしるへし。 |
J17_0674A13: | 身替り名號の事 |
J17_0674A14: | 粟田の郷に住せるもの上人親跡の名號を受持し平日 |
J17_0674A15: | 是を懷にして身をはなたすふかく信敬して今生後生 |
J17_0674A16: | の守とせりかくて此人いかなる宿報にや貧窮にして |
J17_0674A17: | 父母養育の糧乏しく常に是を患へて世渡る橋を超え |
J17_0674B18: | かぬるに或とき其ほとりに公の法度にそむき决斷に |
J17_0674B19: | 及ひなは遠國に放たれ流人ともなりなんとかねて沙 |
J17_0674B20: | 汰ありけれはかのものひそかに申けるは貴方篤實に |
J17_0674B21: | して孝養の志し厚く老實にましませと財寶にとほし |
J17_0674B22: | く志しも盡し玉はさる事をしれりしかるに我にしか |
J17_0674B23: | しかの罪ありて終に他國の土とならん事必せり希く |
J17_0674B24: | は我にかはりて罪人となり給はは兩親の生涯心やす |
J17_0674B25: | きほと貨財をまいらせんといひけれは此人孝順の念 |
J17_0674B26: | ふかきのみならす仁愛篤き生質なれは自他のためふ |
J17_0674B27: | たつなから志をとけなんと我父母だにゆたかに世を |
J17_0674B28: | 渡り玉ははたとひいかやうの身となるとも悔みなし |
J17_0674B29: | と申けれは彼もの其心を感し黄金若干あたへけれは |
J17_0674B30: | 是をうけ得て父に對していはく我他の傭夫となりて |
J17_0674B31: | しはらく遠國に至り月をかさねて歸りなん其客作の |
J17_0674B32: | 料として寶貨をうけ得て侍りぬたとひ年を重ねると |
J17_0674B33: | も私のかはりに奴婢にてもめし使はれ給ひかし年頃 |
J17_0674B34: | の貧苦に御身も疲れさせ給ひなんと賢くもいたはり |