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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0674A01: す然に木像忽然として二尺六寸計の坐像金色の阿彌
J17_0674A02: 陀佛と變し金蓮華に坐し玉ふ後光は立雲のことく座
J17_0674A03: は九重なり皆金色にして莊嚴微玅なる事言を以て宣
J17_0674A04: かたく其阿彌陀佛靑蓮の御眥を回し頻婆菓の御唇を
J17_0674A05: 搖し頻伽八辯の聲を出し我は是久遠劫以來の佛なり
J17_0674A06: との給ふ是人法子身の毛いよたち感涙しきりに降る
J17_0674A07: と覺えて夢はさめけり法子は愈信心决定して此尊像
J17_0674A08: を全佛のことく敬ひ奉りぬいでや上人凡人にあらす
J17_0674A09: 濁惡の衆生を濟度せんと大悲の餘りに今此日域に降
J17_0674A10: 誕し玉ふか爲度裟婆分化入の心ならん故に緇白傳に
J17_0674A11: 云上人は恐くは是凡人にあらす大聖の應現ならん歟
J17_0674A12: といへりまさにしるへし。
J17_0674A13: 身替り名號の事
J17_0674A14: 粟田の郷に住せるもの上人親跡の名號を受持し平日
J17_0674A15: 是を懷にして身をはなたすふかく信敬して今生後生
J17_0674A16: の守とせりかくて此人いかなる宿報にや貧窮にして
J17_0674A17: 父母養育の糧乏しく常に是を患へて世渡る橋を超え
J17_0674B18: かぬるに或とき其ほとりに公の法度にそむき决斷に
J17_0674B19: 及ひなは遠國に放たれ流人ともなりなんとかねて沙
J17_0674B20: 汰ありけれはかのものひそかに申けるは貴方篤實に
J17_0674B21: して孝養の志し厚く老實にましませと財寶にとほし
J17_0674B22: く志しも盡し玉はさる事をしれりしかるに我にしか
J17_0674B23: しかの罪ありて終に他國の土とならん事必せり希く
J17_0674B24: は我にかはりて罪人となり給はは兩親の生涯心やす
J17_0674B25: きほと貨財をまいらせんといひけれは此人孝順の念
J17_0674B26: ふかきのみならす仁愛篤き生質なれは自他のためふ
J17_0674B27: たつなから志をとけなんと我父母だにゆたかに世を
J17_0674B28: 渡り玉ははたとひいかやうの身となるとも悔みなし
J17_0674B29: と申けれは彼もの其心を感し黄金若干あたへけれは
J17_0674B30: 是をうけ得て父に對していはく我他の傭夫となりて
J17_0674B31: しはらく遠國に至り月をかさねて歸りなん其客作の
J17_0674B32: 料として寶貨をうけ得て侍りぬたとひ年を重ねると
J17_0674B33: も私のかはりに奴婢にてもめし使はれ給ひかし年頃
J17_0674B34: の貧苦に御身も疲れさせ給ひなんと賢くもいたはり

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