浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0985A01: | せ給ひけるとぞ。誠にためしなき。不可思議の御善 |
J16_0985A02: | 事なりけり。正本副本兩部の御傳。おのおの四十八 |
J16_0985A03: | 卷の繪詞。德治二年に初まり。十年あまりの春秋を |
J16_0985A04: | へて。其功ことごとく成就し給ひぬ。就中。伏見院 |
J16_0985A05: | 御落飾の後は。上皇世の政を知しめして。ことに御 |
J16_0985A06: | いとまましまさざりける。比しも。なを衆生利益の |
J16_0985A07: | ために重寫の御沙汰まで思召入させ賜ひけん。御宿 |
J16_0985A08: | 善の程。よもおぼろけの事には侍らじ。さればいに |
J16_0985A09: | しへより。今の世まで。御傳の利益の。世に盛なる |
J16_0985A10: | を思へば。みな上皇の御賜なり。かたじけなきには |
J16_0985A11: | 侍らずや。これぞげに。かの王身をもつて得度すべ |
J16_0985A12: | きものには王身を現じて。爲に説法すとなんいへ |
J16_0985A13: | る。普門示現の御跡なるべし。さらではいかにと。 |
J16_0985A14: | すずろに感涙をもよほし侍る。さて重寫の御本を |
J16_0985A15: | ば。世間に流布して。衆生を利益すべしとて。舜昌 |
J16_0985A16: | にぞ給はりける。これより世こぞりて。敕集の御傳 |
J16_0985A17: | と稱して。展轉書寫して。ひろく京夷にひろまりけ |
J16_0985B18: | れば。諸人の尊重する事。はるかに。往昔門人の書 |
J16_0985B19: | 記にこえたり。されば道俗貴賤。御傳を拜見して。 |
J16_0985B20: | 念佛門にいる人はなはだおほく。法印の嘉名も。遠 |
J16_0985B21: | 近に聞えしかば。其比台徒の中に。いきどほりをな |
J16_0985B22: | す人出來て。舜昌名を我山の衆徒にかりなから。顯 |
J16_0985B23: | 密の行業をさしをきて。ひとへに念佛の興行を致し。 |
J16_0985B24: | あまさへ他師の行狀を記せる事。はなはだ其いは |
J16_0985B25: | れなしと。そしりをなすともがら。山洛の間に聞え |
J16_0985B26: | ければ。法印又述懷鈔をつくりて。山門にぞをくら |
J16_0985B27: | れける。其略云老愚齡すでに八旬にせまりて。病し |
J16_0985B28: | きりに五内ををかす。なにのいさみありてか。身に |
J16_0985B29: | 憍慢をいだき。心に偏執をおこさんや。非器不堪の |
J16_0985B30: | 身は。永く聖道難行の研精に堪ざるゆへに。淨土易 |
J16_0985B31: | 行の悲願をたのむばかりなり。これまたく入聖得果 |
J16_0985B32: | の敎を。いるかせにするにもあらず。又利智精進の |
J16_0985B33: | 人を。さみするにもあらず。抑彌陀本願の念佛往生 |
J16_0985B34: | は。一代敎主釋尊の誠諦の言なり。六方恒沙諸佛の |