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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0483A01: なはちこのことはり也。このゆへに道綽は。たた淨
J09_0483A02: 土の一門のみありて。通入すべきみちなりと釋し給
J09_0483A03: へり。通しているべしといふにつきて。わたくしに
J09_0483A04: 意うるに二つの心あるべし。一にはひろく通し。二
J09_0483A05: にはとをく通す。ひろく通ずといは。五逆の罪人を
J09_0483A06: あけてなを往生の機におさむ。いはんや餘の輕罪を
J09_0483A07: や。いかにいはんや善人をやと意えつれは。往生の
J09_0483A08: うつはものにきらはるるものなし。かるかゆへにひ
J09_0483A09: ろく通すといふ也。とをく通すとい〓。末法萬年の
J09_0483A10: のち法滅百歳まて。この敎ととまりて。その時きき
J09_0483A11: て。一念するみな往生すといへり。いはんや末法の
J09_0483A12: なかをや。いかにいはんや正法像法をやと意〓つれ
J09_0483A13: は。往生の時にもるる世なし。かるがゆへにとをく
J09_0483A14: 通すといふなり。しかれはこのころ生死をはなれん
J09_0483A15: とおもはんものは。難證の聖道をすてて。易往の淨
J09_0483A16: 土をねかふへき也。又この聖道淨土をは。難行道易
J09_0483A17: 行道となつけたり。たとへをとりてこれをいふに。
J09_0483B18: 難行道とは。さかしきみちをかちよりゆかんかこと
J09_0483B19: し。易行道とは。海路をふねよりゆくかことしとい
J09_0483B20: へり。しかるに目しゐ足なえたらんものは。陸地に
J09_0483B21: はむかふへがらず。たたふねにのりてのみ。むかひ
J09_0483B22: のきしにはつくへきなり。しかるにこのころのわれ
J09_0483B23: らは。智惠のまなこしゐ。行法のあしなえたるとも
J09_0483B24: から也。聖道難行のさかしきみちには。すへてのそ
J09_0483B25: みをたつべし。たた彌陀本願のふねにのりてのみ。
J09_0483B26: 生死のうみをわたりて。極樂のきしにはつくべきな
J09_0483B27: り。いまこのふねといは。すなはち彌陀の本願にた
J09_0483B28: とふる也。其本願といは。四十八願也。そのなか
J09_0483B29: に。第十八の願をもて。衆生の行とさためたるな
J09_0483B30: り。二門の大旨略してかくのことし。聖道の一門を
J09_0483B31: さしをきて。淨土の一門にいらんとおもわん人は。
J09_0483B32: 道綽善導の釋をもて。所依の三部經を習ふへきな
J09_0483B33: り。さきには聖道淨土の二門を分別して。淨土門に
J09_0483B34: いるべきむねを申ひらきつ。いまは淨土の一門につ

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