浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 | 
|---|---|
| J09_0286A01: | 生するぞと思ひ取て。唯稱相續せらるべし。偖此立 | 
| J09_0286A02: | 誓の義を。古今未曾有の大謬解をなしたるは。天台 | 
| J09_0286A03: | の靈空律師なり。旁觀記と云。此書の末鈔を出され | 
| J09_0286A04: | たるが。一部始終謬り計にて。大に人を惑はすこと | 
| J09_0286A05: | なれば。其比淨土門の智識たる人。多く破斥の書を | 
| J09_0286A06: | 出されたり。中にも厭求上人の資。素信上人。旁觀 | 
| J09_0286A07: | 記匡解と云。上下二卷の破文を著し。誠に石上に卵 | 
| J09_0286A08: | を抛が如に。破されたり。古今破文の書。多しとい | 
| J09_0286A09: | へども。かかる嚴しきは見ず。軍に譬へば。義仲の | 
| J09_0286A10: | 倶利伽羅合戰の類と云べし。旁觀此下を解して云。 | 
| J09_0286A11: | 此書を誓言と見たるは。誤りにして。上人の素意に | 
| J09_0286A12: | 非ず。總して起請は。胡亂がましきことにこそ用ゆ | 
| J09_0286A13: | れ等と。僻解紛紜。是古今無雙の大謬解なり。爾ら | 
| J09_0286A14: | ば。諸佛菩薩の誓願等は。皆うろんなることにや。 | 
| J09_0286A15: | 總じて起請誓願に依てこそ。修證をも得。他の信を | 
| J09_0286A16: | も立することなれば。諸佛菩薩より始めて。祖師方 | 
| J09_0286A17: | 及び道俗二衆迄も。此式を以。日課を誓ひ。戒をも | 
| J09_0286B18: | うくることなるに。彼人の如く云はば。自身も具戒 | 
| J09_0286B19: | の比丘には非るべし。起請と立誓と。別なる物に非 | 
| J09_0286B20: | ればなり。又天台宗にても非るべし。天台大師の。 | 
| J09_0286B21: | 止觀七之二十五。紙起大誓願立此願已稱十方佛 | 
| J09_0286B22: | 爲證爲救等とあり。弘決に是を立誓請加と釋す。台 | 
| J09_0286B23: | 家の人。何ぞ祖師の釋を知らざるや。匡解の意爾れば。旁 | 
| J09_0286B24: | 觀の妄解。少分の取るべきなければ。たとひ其書あ | 
| J09_0286B25: | りとも。手も觸べからず云云。 | 
| J09_0286B26: | 因に云。諦忍律師の一枚起請文諸説辨談に。旁觀 | 
| J09_0286B27: | の解も一義なりと云云。是は律師の救ひ過しな | 
| J09_0286B28: | り。旁觀は起請に非。偏に他示し玉ふの義とす。何 | 
| J09_0286B29: | ぞ是を一義と云はん。大師の此外に奧深き事を存 | 
| J09_0286B30: | ぜば等と誓言し玉ふ中に。地の奧深きことありと | 
| J09_0286B31: | 存して。口稱を輕しめば。二尊の憐にはづるべし | 
| J09_0286B32: | と。敎示し玉ふ義を含むことは理在絶言なり。律師 | 
| J09_0286B33: | 此義を深く考へずして云云。評ぜられしは所謂弘 | 
| J09_0286B34: | 法も筆の誤り猿も木から落ると云ふ類なるべし。 |