浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z14_0091A01: | 卽心念佛安心決定談義本或問 |
Z14_0091A02: | |
Z14_0091A03: | 或人の云。客歲秋の初。談義本。彫刻已に成て。四遠に |
Z14_0091A04: | 流布すること。去歲の內。已に三千部に垂とす。或は |
Z14_0091A05: | 詩を作て讃歎し。或は和歌を詠じて解を呈す。安心決 |
Z14_0091A06: | 定し。往生疑ひなしと。悅人多。盛なりと謂べし。然に |
Z14_0091A07: | 淨土家の僧は。大に憤りて。高座にて辨難し。書を作 |
Z14_0091A08: | て破斥す。天台宗も。法明和尙は。書を著て大に貶斥 |
Z14_0091A09: | し玉ふ。初學の輩は。是非分難。往往に岐に泣。老和 |
Z14_0091A10: | 尙。願は。不レ辭二苦勞一。一一辨斥して。諸人をして。彌往 |
Z14_0091A11: | 生の要業を決定せしめ玉へ。余が云く。談義本に付て |
Z14_0091A12: | は。色々の取沙汰を傳聞。淨土家の難は。小僧共に讀 |
Z14_0091A13: | せて聽。法明の難破も。同前に聽たり。合點よき淨土 |
Z14_0091A14: | 宗は。憤りはせまじ。法明の不合點は。今に初めぬこ |
Z14_0091A15: | となり。何も辨じ易ことどもなれども。逐一に辨ぜ |
Z14_0091A16: | ば。長くなりて。讀人倦べし。たゞ其の肝要を擧て問 |
Z14_0091A17: | れよ。問を承て。一一に之を答ん。 |
Z14_0091B01: | 或人問。合點よき淨土宗は。憤りはせまじと云は。何 |
Z14_0091B02: | としたることにて云や。答。去淨土宗の所化の云。 |
Z14_0091B03: | 談義本は。淨土宗を難ぜん爲の。書にてはなし。加樣 |
Z14_0091B04: | にいひたる分にて。淨土家がいたむことにてもなく。 |
Z14_0091B05: | 苦勞に思ふことにてもなしと云ことは。作者も合點 |
Z14_0091B06: | なり。作者の當處は。天台宗にてありながら。事の念 |
Z14_0091B07: | 佛計を弘めて。淨土宗のやうなる人に。當たるものな |
Z14_0091B08: | りと云と。傳聞。此僧は。さても賢僧かな。渡なみの淨 |
Z14_0091B09: | 土宗の。得云まじきことを云なり。なるほど淨土宗に |
Z14_0091B10: | 當らん爲の。書にてはなし。淨土宗。何ぞ必憤らんや。 |
Z14_0091B11: | 淨土宗の中に。加樣に賢ことを云人あれば。淨土宗の |
Z14_0091B12: | 中より。卽心念佛申人の。出來まじきものにてはなし |
Z14_0091B13: | と。悅なり。然に談義本。又必しも法明上人に。當らん |
Z14_0091B14: | とて。書たるにてはなし。我宗の念佛を弘めて。諸人 |
Z14_0091B15: | の勝因を。たゝき起さんが爲なり。其そば杖が。彼人 |
Z14_0091B16: | に當たりと見たり。それほどにはあるまじきことな |
Z14_0091B17: | るに。天台宗になりたる。甲斐はなきなりと云を。殊 |