浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0077A01: | より見れば。口にて唱る所の彌陀を三諦法界なりと |
Z14_0077A02: | 妙理を照すは。深く明かなる。上々の人なり。三諦の |
Z14_0077A03: | 理の明かならぬ人は。此理を一心三觀にて。觀じ照す |
Z14_0077A04: | ことはならず。それゆへ。たゞ我心を離れずと云こと |
Z14_0077A05: | を知覺えて忘れず。思ひ思ふて。念佛申すが。淺く暗 |
Z14_0077A06: | き。下根の人なりと云意にして。前にいかなる人も。 |
Z14_0077A07: | 合點ゆくべしと云て。愚癡無智をも。簡び除られぬ |
Z14_0077A08: | は。此下根の人のことと見へたり。此は上下根共に。 |
Z14_0077A09: | 口にて南無阿彌陀佛と。佛の名を唱る上にて云るゝ |
Z14_0077A10: | が故。四明の。佛の身相に託し。思議を忘れて觀念す |
Z14_0077A11: | る。眞の卽心念佛とは。異なるなり。況や口にて念佛 |
Z14_0077A12: | 申す上にて。上下根の人や。淺深明暗の品を分つ卽心 |
Z14_0077A13: | 念佛は。根本の觀經にも曾てなく。天台大師の疏にも |
Z14_0077A14: | 終に見えず。その名を立て弘め玉ふ。四明の妙宗鈔の |
Z14_0077A15: | 中にも。全くこれなきことなれば。此も亦談義本の妄 |
Z14_0077A16: | 料簡なること必定なり。最前には。根本は觀經より出 |
Z14_0077A17: | たり。名を立て專ら弘め玉ふは。四明尊者なりと。い |
Z14_0077B01: | ひながら。而もか樣に。觀經にも四明にもなき。妄料 |
Z14_0077B02: | 簡を出さるゝは。譬へば看板には。すさまじき虎を畫 |
Z14_0077B03: | き出して。而も虎にはあらぬ。猫を見せるが如し。無 |
Z14_0077B04: | 知の小兒は。誑らかさるゝとも。有識の人は。全く合 |
Z14_0077B05: | 點せぬことなり。さて卽心念佛の人よりは。事の念佛 |
Z14_0077B06: | 申すも。卽心念佛を離れずと見れども。事の念佛の申 |
Z14_0077B07: | し方よりは。左樣には。え云ぬなりとは。此も四明の |
Z14_0077B08: | 弘め玉ふが如き。圓妙の理觀を修する人より見るな |
Z14_0077B09: | らば。なる程左樣に事の念佛申すも。卽心念佛を離れ |
Z14_0077B10: | ずと見るべし。さりながら。談義本の如く。いかなる |
Z14_0077B11: | 人も。合點し易き所の。思ひ思ふて。念佛申す樣な卽 |
Z14_0077B12: | 心念佛の人よりはなか〱左樣に見ることは。なる |
Z14_0077B13: | まじきなり。又此談義の通りなれば。此度は事の念 |
Z14_0077B14: | 佛申すも。卽心念佛を離れずと見る。理觀の人のこと |
Z14_0077B15: | ばかりを云て。左樣にはえ云ぬ事の念佛申しのこと |
Z14_0077B16: | を。全く云れねば。事理の二行を具足する。天台宗の |
Z14_0077B17: | 意に背き。十疑論や。延慶院の淨社の如き。但事本願 |