浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0143A01: | れども。はれ〲と手に取たるやうにはなし。●(五〇) |
Z08_0143A02: | 又時々命のあやうき事。臨終のありさまなども。お |
Z08_0143A03: | もひいだしては。しきりに往生も。心もとなく。地獄 |
Z08_0143A04: | の迎もおそろしく。今にも死なば。こは何とかせんと |
Z08_0143A05: | 肝をつぶす事あり。露ちりほども。氣遣をなすなとの |
Z08_0143A06: | をしへなるに。かくおもうも。うたがひといふものに |
Z08_0143A07: | して侍ることなり。●(五一)いまだ往生せぬ間は。た |
Z08_0143A08: | れとてもおぼつかなきものなり。されば道綽禪師は。 |
Z08_0143A09: | 往生の得否を。定中の佛に決しまします。瑞應傳。惠心の |
Z08_0143A10: | 僧都は。これを吉野の巫女に占しめ。みづから辻占を |
Z08_0143A11: | 聞給へり。故事談。砂石集。をよそ信なきものは。その氣遣もな |
Z08_0143A12: | し。おぼつかなきは。信心のふかきゆへなり。●(五二) |
Z08_0143A13: | あまり大事とおもへば心にか〻りて肝つぶす事もあ |
Z08_0143A14: | るものなり。それを。すこしも氣にかけぬがよきぞと |
Z08_0143A15: | なり。○心ゆるひずとは。紅葉の賀の河海抄に。心緩の |
Z08_0143A16: | 字なり。○あつかはしとは。もてあつかふ義なり。○む |
Z08_0143A17: | ねつぶる〻とは。肝のつぶる〻義なり。何事も心にか |
Z08_0143A18: | かる時は。ふとわれから心にか〻るなり。箒木卷に。お |
Z08_0143A19: | ぼす事のみ。心にか〻り給へれば。まづむねつぶれて |
Z08_0143A20: | とあり。きもすぎてとは。おどろく心なり。●(五三) |
Z08_0143B01: | 是は佛の力を信ぜぬゆへに。實にうたがひといふも |
Z08_0143B02: | のなり。●(五四)これはわが機をもうたがはず。佛の |
Z08_0143B03: | 本願をもうたがはず。厭欣のゆるさをもうたがはね |
Z08_0143B04: | ども。いまだ現に。往生のしるしをみぬゆへに。氣遣の |
Z08_0143B05: | はれぬ人なり。○按ずるに疑に二あり。安心の疑は。往 |
Z08_0143B06: | 生の障なり。起行の疑は。障とならず決答。今この女人 |
Z08_0143B07: | のいへるは。これらのうたがひにもあらず。た▲心も |
Z08_0143B08: | となきうらおもひなり。●(五五)是には。いかにもた |
Z08_0143B09: | しかなる故事の侍らん。たづねかんがふべし。○それ |
Z08_0143B10: | 岩に松は。おふべくもなきものなれども。そのたねあ |
Z08_0143B11: | れば。おひいづるなり。そのごとく。たとひ信心のうる |
Z08_0143B12: | ほひなくとも。本來具足の佛性あれば。いかでか往生 |
Z08_0143B13: | を遂ざらんとなり。月淸集に。如是因の心を。たねしあれは佛 |
Z08_0143B14: | の身ともなりぬへし。岩にも松はおひけるものを。本歌 |
Z08_0143B15: | は古今ならし。●(五六)閑亭後世物語ニ云ク。ある時。法然上人 |
Z08_0143B16: | のたまはく。あはれ此度。しおほせばやと。その時乘願 |
Z08_0143B17: | 房うけたまはりて。上人だにも斯樣に。不定げなる仰 |
Z08_0143B18: | の候はんには。ましてその餘の人は。いか▲候べきと。 |
Z08_0143B19: | 上人うちわらひて。まさしく蓮臺にのぼらんまでは。 |
Z08_0143B20: | いかでか此おもひは。たゆむべきと仰られけり。語灯第五 |