浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0055A01: | たくらべて。す〻めし人もありけんかし。これみな佛 |
Z08_0055A02: | 祖の御心にたがひ。機をあやまる事也。こ〻に註せん |
Z08_0055A03: | 事も。本鈔のために詮なければこれを略す。●(三二) |
Z08_0055A04: | 所詮至誠心といふは。正直の心なり。まがれる事をき |
Z08_0055A05: | らうなり。眞正直に〓〓ら〱と申す念佛なり。それ |
Z08_0055A06: | に名聞の癖がつき。利養のく〓がおこりて。往生せぬ |
Z08_0055A07: | は本意なき事なり。桓寬カ鹽鐵論ニ曰ク。內ニ無二其ノ質一。 |
Z08_0055A08: | 而外ニ學フハ二其ノ文ヲ一。若シ二畫キレ脂ニ鏤ムルカ一レ氷ニ。費シレ日ヲ損スレ |
Z08_0055A09: | 功ヲ。已上○經ニ云ク。一切衆生。皆由二多クレ虛少一レ實云云。 |
Z08_0055A10: | 三心私記ニ云ク。言二至誠心ト一者。卽質直ノ心也。此レ治ス二 |
Z08_0055A11: | 虛假心ヲ一。虛假心ト者。諂曲誑他之心也。已上空也上人の |
Z08_0055A12: | 歌。故事談にあり。極樂はなをき人こそまいるなれ。まかれ |
Z08_0055A13: | ることをなかくと〻めよ。●(三三)此世の無常な |
Z08_0055A14: | るがあぢきなさに。あはれ往生〓とげばやとおもひ |
Z08_0055A15: | て。南無阿彌陀佛と申すは。正直にありのま〻なる念 |
Z08_0055A16: | 佛なり。名利のつくろひかざりなきなり。○胡蝶の卷 |
Z08_0055A17: | に。いなかび給へりしなごりこそ。た▲ありにおほど |
Z08_0055A18: | かなるかたにのみはみえ給ひけれと有。●(三四)物 |
Z08_0055A19: | ごとに名利の念のおこるは。凡夫のならひなれば。此 |
Z08_0055A20: | 世の事にこそ。名利をえすてずとも。後生の事には。こ |
Z08_0055B01: | らへてさうなきやうに。せられよかしとのいさめな |
Z08_0055B02: | り。○諂曲誑他は。生付の心所なれば。凡夫のならひ |
Z08_0055B03: | といふなり。ねんじては。堪忍してなり。伊勢物語に。 |
Z08_0055B04: | ねんじわびてにやありけんとあり。○所詮これは正 |
Z08_0055B05: | 直の心なり。心の正直なる人は。をのづから神佛の御 |
Z08_0055B06: | 心にもかなふなり。ことに淨土宗たる人は。ほれ〱 |
Z08_0055B07: | と正直なるがよく侍るそ。寢覺記にのせたり。むかし |
Z08_0055B08: | 光明山といふ山寺に。としおいたるあまありけり。い |
Z08_0055B09: | かなりけるにか。日吉大明神つきなやまし給ひて。樣 |
Z08_0055B10: | 樣のたくせんどもありけり。ある時の詫宣に。なにの |
Z08_0055B11: | おこなひにも。かならず具すべき事二つあり。二の事 |
Z08_0055B12: | といふは。慈悲と質直となり。是をぐせずばいづれの |
Z08_0055B13: | 行をつとむとも。往生をとげん事。きはめてかたかる |
Z08_0055B14: | べし。もし二をぐする事。なをかたかるべくば。せめ |
Z08_0055B15: | て慈悲はをろそかなりとも。質直ならんと思へ。心う |
Z08_0055B16: | るはしからずして。淨土に生る〻事。いかにもあるま |
Z08_0055B17: | じきことやとぞ仰られける。●(三五)疏ニ云ク。言二深 |
Z08_0055B18: | 心ト一者。卽是レ深ク信スル之心也。已上同記ニ云ク。疑心ハ |
Z08_0055B19: | 易クレ起。信心ハ難シレ成シ。謂ク別行ノ人。多ク破ス二往生ヲ一。爲ニレ |
Z08_0055B20: | 之カ。失テレ信ヲ疑怯ノ心起レハ。便從フ二輪廻ニ一。是レ大失ナルカ |