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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0055A01: たくらべて。す〻めし人もありけんかし。これみな佛
Z08_0055A02: 祖の御心にたがひ。機をあやまる事也。こ〻に註せん
Z08_0055A03: 事も。本鈔のために詮なければこれを略す。●(三二)
Z08_0055A04: 所詮至誠心といふは。正直の心なり。まがれる事をき
Z08_0055A05: らうなり。眞正直に〓〓ら〱と申す念佛なり。それ
Z08_0055A06: に名聞の癖がつき。利養のく〓がおこりて。往生せぬ
Z08_0055A07: は本意なき事なり。桓寬鹽鐵論。內
Z08_0055A08: 而外フハ。若ムルカ一レ。費
Z08_0055A09: 已上○經。一切衆生。皆由虛少一レ實云云。
Z08_0055A10: 三心私記。言至誠心者。卽質直心也。此
Z08_0055A11: 虛假心。虛假心者。諂曲誑他之心也。已上空也上人の
Z08_0055A12: 歌。故事談にあり。極樂はなをき人こそまいるなれ。まかれ
Z08_0055A13: ることをなかくと〻めよ。●(三三)此世の無常な
Z08_0055A14: るがあぢきなさに。あはれ往生〓とげばやとおもひ
Z08_0055A15: て。南無阿彌陀佛と申すは。正直にありのま〻なる念
Z08_0055A16: 佛なり。名利のつくろひかざりなきなり。○胡蝶の卷
Z08_0055A17: に。いなかび給へりしなごりこそ。た▲ありにおほど
Z08_0055A18: かなるかたにのみはみえ給ひけれと有。●(三四)物
Z08_0055A19: ごとに名利の念のおこるは。凡夫のならひなれば。此
Z08_0055A20: 世の事にこそ。名利をえすてずとも。後生の事には。こ
Z08_0055B01: らへてさうなきやうに。せられよかしとのいさめな
Z08_0055B02: り。○諂曲誑他は。(ウマレ)(ツキ)の心所なれば。凡夫のならひ
Z08_0055B03: といふなり。ねんじては。堪忍してなり。伊勢物語に。
Z08_0055B04: ねんじわびてにやありけんとあり。○所詮これは正
Z08_0055B05: 直の心なり。心の正直なる人は。をのづから神佛の御
Z08_0055B06: 心にもかなふなり。ことに淨土宗たる人は。ほれ〱
Z08_0055B07: と正直なるがよく侍るそ。寢覺記にのせたり。むかし
Z08_0055B08: 光明山といふ山寺に。としおいたるあまありけり。い
Z08_0055B09: かなりけるにか。日吉大明神つきなやまし給ひて。樣
Z08_0055B10: 樣のたくせんどもありけり。ある時の詫宣に。なにの
Z08_0055B11: おこなひにも。かならず具すべき事二つあり。二の事
Z08_0055B12: といふは。慈悲と質直となり。是をぐせずばいづれの
Z08_0055B13: 行をつとむとも。往生をとげん事。きはめてかたかる
Z08_0055B14: べし。もし二をぐする事。なをかたかるべくば。せめ
Z08_0055B15: て慈悲はをろそかなりとも。質直ならんと思へ。心う
Z08_0055B16: るはしからずして。淨土に生る〻事。いかにもあるま
Z08_0055B17: じきことやとぞ仰られける。●(三五)疏。言
Z08_0055B18: 者。卽是スル之心也。已上同記。疑心
Z08_0055B19: 起。信心。謂別行人。多往生。爲
Z08_0055B20: 。失疑怯心起レハ。便從輪廻。是大失ナルカ

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