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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0371A01: 二十二日。上人夢定中。感身相光明徹照無比之
J18_0371A02: 尊。又有遺草朝夕之詠。
J18_0371A03: 右正法上人手書見贈予然草稿間難讀故正書以附于此 隆圓
J18_0371A04: 佛定和尚行業記序
J18_0371A05: 鷄林夜半の月空しく浮世の雲にかくれて後。遺れ
J18_0371A06: る法のひかりをかかけて。闇路をてらしたまひけ
J18_0371A07: る。ぼさち高僧皆これ如來の御使として。かはる
J18_0371A08: かはる世にあらはれ給ふ。そか中にも殊さら罪ふか
J18_0371A09: きをあはれみ。極りなき大悲の門をひらきたまひ
J18_0371A10: しは。我吉水の宗祖大師なりけり。されば遺法を
J18_0371A11: うけて弘めたまへる智者達の。世世にともしから
J18_0371A12: ずして。百とせを六たびかさねし今にいたるま
J18_0371A13: で。常盤の松のしげきかごと。彌榮にさかへて。
J18_0371A14: いとたふとき御法にぞ侍るめる。ここに先師佛定
J18_0371A15: 和尚。宿縁にもよふされて。まだ髫髮子よりここ
J18_0371A16: ろを發し。遂に出家して此法水を汲得てし後。あ
J18_0371A17: まねく枯稿の衆生にそそき。もはら頑魯のともが
J18_0371B18: らをいざなはれしかば。これによりてとみに惡を
J18_0371B19: こらし善にすすみて。念佛するものあげてかぞふ
J18_0371B20: べからず。おのれつとにえにしやありけん。和尚と
J18_0371B21: 師資の芳契を結びて。道愛をかうふることあつ
J18_0371B22: く。法澤をうくることふかし。しかるに滅を示さ
J18_0371B23: れし後。その道蹟の空しく消なんことをかなし
J18_0371B24: ひ。上足大察法兄。師の行狀のあらましをしる
J18_0371B25: し。おのれによくよみただして。世に貽さんこと
J18_0371B26: を囑せらる。負氣なくこれをうけがひ置侍りし
J18_0371B27: が。はからず法兄もまた世になき人となれり。お
J18_0371B28: くれさきだつことはりとはいへど。今さらのやう
J18_0371B29: に覺へて。すゑの露もとの雫も。みな我袖にのみ
J18_0371B30: かかれる心地してかなし。されど事しげき世にま
J18_0371B31: ぎれ暮して。まだそのことをはたさざりしが。此
J18_0371B32: 頃華頂山に安居して。法兄の三めぐりの秋もはや
J18_0371B33: ちかきに驚き。いささかいとまある日は。その記
J18_0371B34: をよみかうがへ。なほはたおのれが視聽せること

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