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J2540 弾誓上人絵詞伝 宅亮 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0697A01: の許より寄附したるあり。これ又質素の古風なり。
J17_0697A02: ○上人在世の内日課念佛授與の印に書與へ給ふ所の
J17_0697A03: 彌陀名號凡そ四百萬餘幅なり。或は大或は小或は金
J17_0697A04: 泥。筆形少しも違ふことなし。或は又名躰不離名號。
J17_0697A05: 化佛印文などどて書給へり。其名號。光明を放ち種
J17_0697A06: 種の奇瑞ありき。今に至りて信心に奉持する輩光明
J17_0697A07: を拜する者多し今年開帳の砌り名號現益の事翼贊の
J17_0697A08: 末にあり。
J17_0697A09: ○上人或人兄弟に五遍宛紺紙金泥にて名號を書與へ
J17_0697A10: 玉ふに。五返火中に入變じて黄金の佛體となり給へ
J17_0697A11: り。是を十念名號所變佛像と申奉る。今現に當山に
J17_0697A12: あり。
J17_0697A13: ○石見國坂崎織部正の家中。大井傳藏といふもの江
J17_0697A14: 戸へ使者に下りける時。上人の高德を聞及び慶長十
J17_0697A15: 二年未五月十四日の夜。相州塔の峯に登り日課四萬
J17_0697A16: 聲を授り并に名號をも受て去りぬ。其後主君の意に
J17_0697A17: 背くことありて。同年十月九日牢獄に入る十二日に
J17_0697B18: は既に死罪に究りぬ。よつて十一日の夜上人より給
J17_0697B19: はりたる名號を牢中に掛て。臨終正念を祈りける。
J17_0697B20: 時に名號より光明耀き。彌陀三尊來現あり。牢番是
J17_0697B21: を見て急ぎ主君へ訴へければ則ち檢使を立て見せら
J17_0697B22: れけるに。檢使ありのままに主君へ告ければ。主君
J17_0697B23: 大ひに驚きて直に罪科を赦免せられける。坂崎氏代
J17_0697B24: 代日蓮宗なりしが。立に改めて淨土の家と成られた
J17_0697B25: り。是によりて一門の輩も日課名號を受奉らんと志
J17_0697B26: し。起請文を以て願を立らる。件の傳藏取次なり。
J17_0697B27: かの起請文を一軸に成して廿通の起請文と號し今現
J17_0697B28: に當山にあり。
J17_0697B29: ○慶長七年四月より五月に至り。上人の夢中に何と
J17_0697B30: もしれざる人來りて數目見けり。何の由といふことを
J17_0697B31: しらず。又同六月十七日の丑の刻に來り見へて云
J17_0697B32: く。我は是太閤秀吉なり。存生の時頗る善根を作と
J17_0697B33: いへとも皆名聞の意なりしかば。いまだ苦患を脱
J17_0697B34: することあたはず。况や人を殺害する事幾千萬といふ

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