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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0433A01: 或人熊谷の入道。津戸の三郞は。無智の者にて餘行
J16_0433A02: かなひかたけれはこそ。念佛ばかりをばすすめたま
J16_0433A03: ふらめ。有智の人には。必しも念佛には限るへからす
J16_0433A04: と申けるを。爲守つたへ聞て。上人に尋申けるつゐ
J16_0433A05: てに。條條の不審を申入けり。上人の御返事云。
J16_0433A06: 一熊谷の入道。津戸の三郞は。無智の者なれはこ
J16_0433A07: そ。但念佛をはすすめたれ。有智の人には。必しも
J16_0433A08: 念佛には限るべからすと申よし。聞えて候らん。
J16_0433A09: 極たる僻事に候。その故は。念佛の行は。本より
J16_0433A10: 有智無智に限らす。彌陀の昔誓ひ給ひし本願も。あ
J16_0433A11: まねく一切衆生の爲なり。無智のためにと念佛を
J16_0433A12: 願し。有智のためには餘のふかき行を願し給こと
J16_0433A13: なし。十方衆生の句に。ひろく有智無智。有罪無
J16_0433A14: 罪。善人惡人。持戒破戒。かしこきもいやしきも。
J16_0433A15: 乃至皆こもれるなり。されは往生のみちを問尋候人
J16_0433A16: には。有智無智を論せす。皆念佛の行ばかりを申
J16_0433A17: 候なり。しかるにそら事をかまへて。左樣に念佛
J16_0433B18: を申とどめんとするものは。先の世に念佛三昧淨
J16_0433B19: 土の法門をきかず。後の世に又三惡道へかへるべ
J16_0433B20: きもののしかるへくて。左樣の事をばたくみ申事
J16_0433B21: にて候なり。其よし聖敎に見えて候。見有修行
J16_0433B22: 起嗔毒。方便破壞競生怨。如此生盲闡提輩。毀
J16_0433B23: 滅頓敎永沈淪。超過大地微塵劫。未可得離
J16_0433B24: 三途身と申たるなり。此文の心は。淨土をねが
J16_0433B25: ひ。念佛を行ずるものを見ては。いかりをおこし。
J16_0433B26: 毒心をふくみて。はかりことをめぐらし。やうや
J16_0433B27: うの方便をなして。念佛の行を破りて。あらそひ
J16_0433B28: てあたをなし。これをととめんとするなり。かく
J16_0433B29: のこときの人は 生れてよりこのかた佛法の眼し
J16_0433B30: ゐて。佛の種を失へる闡提の輩なり。彌陀の名號
J16_0433B31: をとなへて。ながき生死を忽に切て。常住の極樂
J16_0433B32: に往生すといふ。頓敎の御法をそしりほろぼして。
J16_0433B33: 此罪によりて。三惡道にしづみて。大地微塵劫を
J16_0433B34: 過とも。ながく三惡道の身を。はなるへからすと

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