浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J16_0217A01: | 後モ未見聞セズ |
J16_0217A02: | 卿二品の弟民部卿範光は。後鳥羽院の寵臣なり。ひ |
J16_0217A03: | とへに上人に歸して。稱名の外他事なかりけり。生 |
J16_0217A04: | 年五十四の春承元元年三月十五日に出家をとげ。法 |
J16_0217A05: | 名を靜心と號す。病惱危急の由きこしめされけれは。 |
J16_0217A06: | しのびて御幸ありけり。後生のこといかか思ひさだ |
J16_0217A07: | め侍ると御たづねありければ。今度の往生决定して |
J16_0217A08: | さらに疑ふところ候はす。其故は去夜の夢に一人の |
J16_0217A09: | 高僧來る。誰人にましますそと問に。我はこれ源空 |
J16_0217A10: | なり。唐土にしては善導となつけ。此土にしては源 |
J16_0217A11: | 空といふ。此界に來て衆生をみちびく事すでに三箇 |
J16_0217A12: | 度なり。今汝に命終の期をしめさんかために來臨す。 |
J16_0217A13: | 明後日午の尅その期なるべしとの給と見て夢さめ侍 |
J16_0217A14: | りぬ。すでに冥の告にあづかれり。往生むなしかる |
J16_0217A15: | べからざる由を存すと申す。是を聞食されてふかく |
J16_0217A16: | 御隨喜ありけり。件の日時すこしもたかはす正念に |
J16_0217A17: | 安住し。稱名相續して往生をとぐ不思議の事なり |
J16_0217B18: | けり。 |
J16_0217B19: | ●民部卿範光ハ刑部卿從三位範兼卿ノ男母ハ前伊豫守源後重ノ女也長子ハ女子ニテ後鳥羽院御乳母卿二位殿ト號ス刑部卿ノ女ニシテ二品ニ叙セラレヌレバナリ範光卿其弟ナレバ卿二品ノ弟トハ云ナリ●承元元年ハ土御門院即位九年也 |
J16_0217B20: | 畫圖 |
J16_0217B21: | ●卿二品ハ後鳥羽院ノ御乳母二位殿ナリ刑部卿範 |
J16_0217B22: | 兼ノ女ニテ二位ニ叙シヌレバ卿二品ト云ナリ承久 |
J16_0217B23: | 記下ニ御乳母卿ノ二位殿アハテ參テ見進セラルニ |
J16_0217B24: | タトヘンカタゾナカリケルトアリ範光卿其弟ナレ |
J16_0217B25: | バ卿二品ノ弟ト云ナリ●後鳥羽院ノ寵臣トハ或記 |
J16_0217B26: | 云古老ノ物語ニ紀伊守範光ハ後鳥羽院ノ御タメニ |
J16_0217B27: | ハ最モ忠臣ナリ然レドモ思召モシラデ過サセ給ヒ |
J16_0217B28: | ケレバ内内恨ミ思ヒケリ其故ハ此君ハ高倉院ノ第 |
J16_0217B29: | 四之宮トシテ七條修理大夫信隆卿ノ御娘ノ腹ニ生 |
J16_0217B30: | レサセ給ヒシヲ平家西國ヘ下リシ時此宮ヲモ取奉 |
J16_0217B31: | ントテ既ニ乳母ニイザナハレテ下ラセ給フベキヲ |
J16_0217B32: | 此範光道マテ走ツキテ盛衰記三十二ニ心賢ク思ケルハ主上ハ西海ヘ落下ヲセ給ヲ法皇都ニ留ラ |