浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0203A01: | 信の機は。鞭を蒙らざるに馳るが如し。又解義の人 |
J09_0203A02: | は自ら勝他名聞の心も有べし。仰信の人は自身を卑 |
J09_0203A03: | 下するが故に。慚愧の心ありて。助玉への念ひも彌 |
J09_0203A04: | 增に。他力に賴をかけ。本願に乘し易し。さて又解 |
J09_0203A05: | 信の人は。道理を知るが故に。信力堅固なるべしと |
J09_0203A06: | 云ふ難に至ては。先惣して解と行とは離るべからざ |
J09_0203A07: | 事。車の兩輪の如く。鳥の兩翼の如くなれとも。古 |
J09_0203A08: | へより具へざる人多し。昔し甲斐の國に。嚴融房の法印ときこえし學匠あり。いたく腹あしき人 |
J09_0203A09: | なりけり。その妹最愛の一子にをくれけるが。親のならひとて。いたくなげきければ。よその人も訪ひ哀み侍りけるに。此上人訪はざりける |
J09_0203A10: | を。あなうたてや。これ程のなげきを。上人訪はれぬことよ。餘所の人たに情をかくるにといひけるを。弟子の僧もれ聞て。かの女房の恨み申 |
J09_0203A11: | 程に。御訪ひ候べかしと諫めけれは。例の腹たちて。無下の女房かな。法師か妹などいはんものは。普通の在家の人に似るべからず。生老病 |
J09_0203A12: | 死の國に居ながら。愛別離苦の愁ひなかるべきや。あら不覺や。いふかひなき女房かな。いでいで往てつめふせてこんとて。かさかさとして |
J09_0203A13: | ゆきぬ。誠にやは女房の嘆きを。法師の問ぬとてうらみ給ふとはありつる事にやといへば。あまりのなげきに。心もあられぬままにさること |
J09_0203A14: | も申てや候ひけんといへば。無下の人かな。さすが此法師がしたしきしるしには尋常の人にや似給ふべき。生あるものはかならず滅す。會 |
J09_0203A15: | ものはさだめて離る。閻浮はことに老少不定の國なり。をくれさきだつ親子のわかれ。世になき事か。始て歎き驚くべきにあらず。返かえすいふ |
J09_0203A16: | かひなしと。呵りけれは。女房かくのごとく。此道理はうけ給りて。しりて侍れども。身をわかてる子。手付て候ひつるうへに。心ざまもかひ |
J09_0203A17: | かひしければ。何の道理もわすれて。ただわかれのみ悲しく覺え候と。いひあへず涙をこぼしなきけれは。あら愚癡や。道理しりながら。なを |
J09_0203B18: | 嘆くべきか。されはそれは。しりたるかひかある。不覺やとていよいよせめふせけり。とはかり有て。女房涙をのごひ。人の腹立候ことは。あ |
J09_0203B19: | しきことか。又くるしからぬ事かととへばそれは貪瞋癡の三毒とて。宗との煩惱の一ツなり。うたがふにや及ぶ。おそるしきとがなりといふ。 |
J09_0203B20: | そのとき女房。などさらばそれ程に。道理御心得あるに。御腹はあまりにあしきぞといふにはたと。つまりて。いひやりたることばなくして |
J09_0203B21: | よしさらば。いかにも思ふさまに。なげき給へとて。しかりにげに。いでにけるとなんと。沙石集に見えたり彼南都北嶺 |
J09_0203B22: | の偏執。三井山門の確執により。或は干戈を動し。 |
J09_0203B23: | 人を劫かす事あり。是皆智者學匠なり。解と行とな |
J09_0203B24: | らはざるには非ず。是故に大師は。受敎と發心とは |
J09_0203B25: | 各別也との玉ひ。南山は解藏不苦救と宣ひ。無住 |
J09_0203B26: | は學解を賴て。修行に疎くは。菩提を遠かるべしと |
J09_0203B27: | 呵し玉へり。知は行ぜんが爲ならすや。譬へは藥の |
J09_0203B28: | 能書を讀明めても。藥を服せされば其詮なく。能書 |
J09_0203B29: | は讀ざれとも藥を服用すれば。立處に病を治するが |
J09_0203B30: | 如し。非知之艱行之惟難しと。聖敎の道理を能明 |
J09_0203B31: | めて。疑ひなけれとも。理の如く行するものは希也 |
J09_0203B32: | 提婆は六萬の法藏を誦持せしかとも。阿鼻の苦を招 |
J09_0203B33: | き。槃特は僅に守口攝意身莫犯。如是行者得度世の |
J09_0203B34: | 一偈を持して羅漢果を得たり。匿王怪て問佛。佛偈 |