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J0030 阿弥陀経 鳩摩羅什訳 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J01_0058A01:   シ。
J01_0058A02:   惡露不淨ノ惡ヲ、合讃ニ去聲ト定メラレタリ、是ハ慧琳音義五十四摩鄧女經ノ處七十五道地經ノ處ニ惡露ノ惡
J01_0058A03:   ヲ烏固切憎惡義ト云ニ依レルニテ、乘恩ノ大經音義モ亦然リ乘恩、玄應音義七ニ於路切ト云ヘルヲモ引合セタレトモ、彼ハ法華譬喩品ノ
J01_0058A04:   又復爲人之所惡賤ノ惡ヲ釋シタルニテ、惡露ノ音釋ニアラス、サレハ應師云何カ釋セラレタラン知リ難シ、而ルニ華頂新本ニ、アクヲ二音共ニ付テ、而モア
J01_0058A05:   クヲ正トシ、ヲヲ傍トセリ、字書ヲ閲スルニ、此字不善醜陋糞穢等ノ時ハ入聲烏各切、憎疾忌耻等ノ時
J01_0058A06:   ハ去聲烏故切トアリ、今經ハ老病者ノ身ヨリ穢物ノ流レ出テテ、厭ハシキヲ指シテ、惡露不淨無可樂
J01_0058A07:   者ト説キ玉ヘルニテ、其穢物ヲ指スナレハ是レ入聲ナルヘシ、心所法ノ惡作ヲ、倶舍論ニハ縁惡所作
J01_0058A08:   心追悔スト説テ、惡作ヲ所縁ノ境トスルカ故ニ、惡ヲ入聲ニ呼ヒ、唯識論ニハ惡所作業追悔爲性トア
J01_0058A09:   ルニ依テ、去聲ニ呼等ノ如キハ常ノコトニテ、字書ノ定モ前ノ如クナレハ、入聲ヲ正トスレトモ、慧琳
J01_0058A10:   ノミナラス、放光般若經ノ音義ニモ去聲トシ、古師多ク此レニ依ラレタレハ、強テ非トセンコトヲ憚
J01_0058A11:   テ、傍ニ去聲ヲモ付ラレタルナラン、見者怪ムコトナカレ。
J01_0058A12:  一都漢音ハト、呉音ハツナリ、國語ノ假字ニモ、ツノ淸音用ヒタリ、此字音華頂本ニ漏レタレハコ、ニ載
J01_0058A13:   ス。
J01_0058A14:  一古ヨリ字音ノ訛呼シ來レルモノ多シ、是ヲ以テ、近世華頂山ニ正訛ノ善本鎸刻アリテ、海内ニ流布ス
J01_0058A15:   トイヘトモ、猶舊習ヲ攺メス、出ノシユツト呼ベキヲスヰト呼ヒ、行樹ノ行ヲギヤウト呼ヒ、又長聲短
J01_0058A16:   聲ヲ錯呼スル類少カラス、彼本ニハ初心ノタメニ讀ミ難ク訛リ易キ字ニハ、假字ヲ付オカレタルヲ
J01_0058A17:   見ナカラ、尚訛ヲ傳フルハ心ナキコトナリ、又近世大經下卷ノ今世恨意ノ恨ヲゲント訛呼スルモノ
J01_0058A18:   多シ、此等ハ云マテモナキ事ナレトモ、初心ノタメニ掲示ス、此等忽緒ニスマシキヲ庶幾フニナン。
J01_0058A19:      嘉永五年歳壬子仲秋                縁 山 沙 門  大  雲 識

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