観経義賢問愚答鈔
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんぎょうぎけんもんぐとうしょう/観経義賢問愚答鈔
一巻。証忍撰。西山深草義の顕意と九品寺流の証忍との間に交わされた法論問答の書。弘安六年(一二八三)顕意が善導『観経疏』に関する疑点一二〇条を挙げた『浄土疑端』四巻を世に問うて広く学匠の批判教示を乞うたのに対し、証忍が同八年に本書を著してそのうち一六条について答釈した。顕意は翌九年に『拙疑巧答研覈鈔』を執筆応釈し一応の区切りが付いたが、この顕意・証忍間の論戦は互いに敬意を表しながら紳士的になされた点で高く評価されている。本書を含む一連の法論問答書は、嘉禄の法難以後の京都で教線を張った西山・九品寺両派の教義理解を示す貴重な資料である。
【所収】正蔵五七
【参考】望月信亨「九品寺証忍の観経義賢問愚答鈔と竹林寺顕意の拙疑巧答研覈鈔」(『浄土教之研究』金尾文淵堂、一九一八)
【執筆者:吉田淳雄】