直爾趣求
提供: 新纂浄土宗大辞典
じきにしゅぐ/直爾趣求
他の善を差し挟まず、直接に浄土往生を願い求めること。挟善趣求の対である。浄影寺慧遠の『観経義疏』末は、『観経』所説の三心中、回向発願心を二つに分け「直爾に趣求す。これを説いて願と為す。善を挟んで趣求するを説いて回向と為す」(浄全五・一九二下)とし、この直爾趣求をもって発願を解する。これは聖光の『授手印』における回向発願心理解に用いられる(聖典五・二二九/浄全一〇・三下)。良忠の『伝通記』散善義記は、この回向発願心を直爾趣求・挟善趣求によって理解することについて、開合の違いはあるが、浄土を願い求める心という点で異ならず、一心である(浄全二・三九〇下)とし、また『東宗要』四では、まずそれまでに積んだ善を往生のために回向することが挟善趣求であり、その後に往生を願うのが直爾趣求であるという前後関係によって説明する。
【資料】聖冏『釈浄土二蔵義』二四(浄全一二)
【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九九八)
【参照項目】➡挟善趣求
【執筆者:市川定敬】