ほうおうじ/法王子
菩薩のこと。特に文殊菩薩を指す。次に法王(仏)になることからこう呼ばれる。Ⓢkumārabhūta。『大智度論』二九には「仏は法王為り。菩薩法正位乃至十地に入る故に悉く王子と名く。皆任じて仏と為る。文殊師利、十力・四無所畏等悉く仏事を具す故に、鳩摩羅伽地に住して広く衆生を度すが如し」(正蔵二五・二七五中)とある。Ⓢkumārabhūtaは嫡子ほどの意。またこの語は『華厳経』十住品に説かれる十住の第八に当たり、童真地ともいう。十住には別に第九法王子地(Ⓢyauvarājya)がある。
【参照項目】➡文殊菩薩
【執筆者:小澤憲雄】