仏が衆生に手をさしのべて導くこと。『観経』の上品上生の文に「阿弥陀仏は大光明を放って、行者の身を照らし、諸もろの菩薩と与に手を授けて迎接こうしょうしたまう」(聖典一・三〇六/浄全一・四七)とある如く、浄土教においては仏に救い取られることの意が強いが、『梵網経』等によれば授手の本意は実際に手を授ける行為のことではなく、教えを相承するという意やその証のことである。浄土宗でも教えを相承した証として手形を押す授手印があり、さらには「おてつぎ運動」の根源でもある。
【執筆者:兼岩和広】