意は「こころ」、楽は「ねがい」の意。心に持つ願いのこと。原語のⓈāśaya(音写は阿世耶)は意楽の他に、休息処、直心、心性、思惟、所欲などと訳されるが、自性の根本において願い欲するものを意味する。「諸仏の寿命、意楽に随って長短あり」(『逆修説法』昭法全二四八)や「彼もこれも人の意楽に随いて、時宜によるべし」(『逆修説法』昭法全二五九)のように用いられるが、日本においては、単に好みや心構えを意味するだけの場合にも用いられる。
【執筆者:兼岩和広】