心行具足
提供: 新纂浄土宗大辞典
しんぎょうぐそく/心行具足
浄土往生を願う者が念仏を称えるにあたって具えるべき三種の心(安心)と浄土往生を願う者が実践すべき行(起行)の二つが欠けることなく完全に具わった状態のこと。法然は『御消息』において「浄土に往生せんと欲わん人は安心起行と申して心と行との相応すべきなり」(聖典四・五三四/昭法全五七七)と述べ、安心である三心と起行である念仏が相応すべきことを示している。また法然が『常に仰せられける御詞』において「阿弥陀ほとけ、我を助け給えという言葉を心得て、心には阿弥陀仏助け給えと思いて、口には南無阿弥陀仏と唱うるを、三心具足の名号と申すなり」(聖典六・二七八/昭法全四九二)と述べているように、阿弥陀仏に救いを求めて称える念仏が心行具足の念仏である。
【執筆者:宮田恒順】