往生論註記見聞
提供: 新纂浄土宗大辞典
おうじょうろんちゅうきけんもん/往生論註記見聞
一
一〇巻。『浄土往生論註記見聞』『浄土論註記見聞』『無量寿経論註記見聞』『論註記見聞』『註記見聞』『酉誉見聞』『酉見』ともいう。聖聡撰。著作年代は未詳だが、引用書から応永二年(一三九五)以降の成立とされる。本書は、良忠の『往生論註記』について、すでに散逸している定慧『鎌倉御抄』や、師の聖冏からの口筆や聞書など、白旗系統のものを多く引用し聖聡が細釈したもの。良栄理本の『論註記見聞』とともに、『往生論註記』末書の良書である。
【所収】浄全一
【執筆者:加藤芳樹】
二
五巻。『論註記見聞』ともいい、「大沢見聞」(「良栄見聞」)の一書。良栄理本述。著作年代は不明。良忠『往生論註記』の細釈。本書は、『往生論註記』の当を得ないと思われるものについて校訂加筆し、文義を明らかにしようと試みている。
【所収】浄全一
【執筆者:加藤芳樹】
三
全五巻二冊。『論註持阿見聞』ともいい、「持阿見聞」の一書。持阿良心撰。本書は本文中の記述から、正和四年(一三一五)九月の著述と考えられる。また、現存する写本から、応安五年(一三七二)と天文三年(一五三四)に書写されていることが分かる。良忠の『往生論註記』に対する注釈書で、良忠門下の良心が藤田の学問所において講説した際の記録と考えられ、藤田派の教義を知るための数少ない貴重な書。
【参考】大正大学出版会編『大正大学所蔵資料図録—仏教篇—』(大正大学出版会、二〇〇三)
【執筆者:加藤芳樹】