荼毘後に遺骨を拾うときに唱える偈文。拾骨偈・収骨偈ともいう。「仏此夜滅度ぶっしやめつど 如薪尽火滅にょしんじんかめつ 分布諸舎利ぶんぷしょしゃり 而起無量塔にきむりょうとう」(『法華経』序品、正蔵九・五上)。仏(釈尊)がこの夜に滅度したまうこと、薪尽きて火の滅きえるが如し。諸の舎利(遺骨)を分骨して、仏舎利を納める塔が多く建てられたの意。『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下には、「孝子等竹木の箸を以て、兄弟白骨を相挟あいばさみして骨箱に入るべし」(一二ウ)とある。『法要集』の収骨式には「取骨偈」の指示はなく回向文は「降魔偈」としている。
【執筆者:和田文剛】