ぶっぽうふかせきろん/仏法不可斥論
杞憂道人(養鸕徹定)著。明治三年(一八七〇)成立、同四年『十二問答』を合して刊行。明治政府の神道優先政策や西洋学問・キリスト教の流入により、仏教が排斥される風潮にあって、仏法が国家社会に有益であることを論じる。本書の内容は天皇や武将による崇仏や、教育や祭祀を担った寺院の有益性など、これまでの日本仏教の功績を一五条にわたって述べ、不可斥であるとする。しかし寺院の驕奢、僧侶の濫行などは斥けるべきであるとする。
【所収】『明治仏教思想資料集成』二(同朋舎出版、一九八〇)
【執筆者:石川達也】