三輪学院
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんりんがくいん/三輪学院
労働児童の訓育を目的とした施設。東京市下谷区三輪町にあった。明治一九年(一八八六)一一月より、小学校、保育所などの運営をとおして地域福祉活動を積極的にすすめてきた「同善会」の事業の一環に位置づけられる。大正一一年(一九二二)四月、鵜飼俊成が同善会顧問に就任、翌五月に三輪学院が創設された。鵜飼の宗教大学社会事業研究室の恩師である矢吹慶輝を学院長に、また谷山恵林を主幹に迎え、「労働児童の教育」を中心に地域改良事業の教育的視点からの展開を試みた。この三輪学院の地域実践は、同時期の長谷川良信による「マハヤナ学園」同様に、当時の社会事業研究室の学生によって支えられており、その中心的担い手が鵜飼俊成であった。昭和一五年(一九四〇)に三輪学院は社会的役割を閉じるが、鵜飼によって「同善会」の地域実践は戦後に継承された。現在、「同善会」は創立一二〇周年を迎え、「同善病院」「同善会クリニック」を運営し地域に密着した医療サービスを提供するにいたっている。
【執筆者:落合崇志】