個(一)が全体(一切)に遍満し、かつ全体が個に統合されつつ顕現して不可思議円満に相即するさま。特に法性縁起観を示す。一切即一とあわせて説かれる。一即多、多即一ともいう。『華厳経』を中心に頻繁に説かれる概念であるが、直接対応する原語や訳語は経典に確認されない。中国華厳宗第三祖法蔵(六四三—七一二)の『華厳五教章』などに詳しい説明が見られる。
【参照項目】➡華厳経、華厳宗
【執筆者:中御門敬教】