いっちょうぎり/一丁切
蠟燭または線香一本が燃え尽きるまで念仏を称えること。「いっちょうきり」ともいい、一挺切とも書く。挺は細長くまっすぐなものを数える語。浄土宗信者の国学者、本居宣長(一七三〇—一八〇一)の『別本家の昔物語』(天明四年〔一七八四〕成立)に、伊勢樹敬寺での法事の様子が記されている。同書「先祖諸霊祠堂の事」には、二夜三日に及ぶ祠堂法要から一夜の法事となり、一挺切と一挺切法事を修していることを記している(『本居宣長全集』二〇・四六、筑摩書房、一九七五)。また「別記 その三」には、年回法要で一丁切、小施餓鬼を修したとある(同全集一六・六七八)。
【執筆者:村田洋一】