カピラヴァスツ
提供: 新纂浄土宗大辞典
カピラヴァスツ/ⓈKapilavastu
古代インドの都市。釈迦族の首都で、釈尊が出家以前を過ごしたとされる場所。劫比羅筏窣覩、迦毘羅衛などと音写される。また劫比羅(迦毘羅)城ともいわれる。カピラヴァスツについては、法顕『高僧法顕伝』(正蔵五一・八六一上~)と玄奘『大唐西域記』(正蔵五一・九〇〇下~)が、ともに荒れ果てた地であることを伝えている。すなわち法顕が訪れた五世紀初めには、すでに釈尊在世当時の活気を失っていたことが理解される。またその具体的な所在については、両書の記述が一致しないことにも起因して確定されておらず、ティラウラ・コット(ネパール)とピプラハワ(インド)の二つが、カピラヴァスツの遺跡として考えられている。
【執筆者:石田一裕】