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一筆経

提供: 新纂浄土宗大辞典

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いっぴつきょう/一筆経

一人で一部の経典を書写すること。時には、一切経五〇四八巻や『大般若経』六〇〇巻を書写する場合もある。一筆一切経は長い歳月がかかるが、それを成し遂げた人物に、名筆家としても知られる藤原定信(一〇八八—一一五六?)と筑前宗像むなかた神社の色定法師良祐(一一五九—一二四二)がいる。藤原定信は二三年を費やして一切経を書写したが、その遺品は伝わっていない。色定法師は四二年を費やして一切経を書写し、その遺品は現在も四三〇〇巻以上が伝わっている。また、一筆大般若経は鎌倉時代に多く書写されるようになる。建暦元年(一二一一)から建保六年(一二一八)にかけて足利鶏足寺けいそくじの慶弁が書写したものや、弘安七年(一二八四)から同一〇年にかけて周防国柳井上品寺において宋人謝復生が書写したもの(国重要文化財)が伝わっている。


【参考】頼富本宏・赤尾栄慶『写経の鑑賞基礎知識』(至文堂、一九九四)、小松茂美『平家納経の研究』研究編上(講談社、一九七六)


【参照項目】➡写経


【執筆者:馬場久幸】