最高品質の黄金のこと。紫色を帯びたものと解される。『寂照堂谷響集』八は紫磨について「金之精」、紫磨金について「上金」との解釈を挙げている(仏全一四九・一四一下)。この語はしばしば仏典に見られ、例えば『中阿含』四一では仏の三十二相の一つとして「沙門瞿曇くどんの身、黄金色にして紫磨金のごとし」(正蔵一・六八六中)と説かれ、この金が金のなかでも最も尊ばれていることが窺える。また『観経』の上品中生では「行者の身、紫磨金色となる」(聖典一・三〇七/浄全一・四七)とあって、往生人には仏の特徴がもたらされるという。
【参照項目】➡紫金台
【執筆者:袖山榮輝】