一木造
提供: 新纂浄土宗大辞典
いちぼくづくり/一木造
仏像の頭・体幹部を一本の木から作り出す技法。背面・腕・座像の両脚などを別材で補う場合でも、主要な部分が一材であれば一木造とされる。奈良時代の作例は内刳がないものも多いが、干割れを防止するため背面に背刳を行っている例も見られる。また仕上げ法として檀像にならって素地のまま、ないしその上に薄く彩色を行うものと、乾漆仏の技法を受け継いで木屎漆を盛り上げるものとがある。日本では飛鳥時代から作例が見られるが、最盛期は奈良時代後半から平安時代前期にかけてである。近年は日本の一木造作例が大陸の檀像から多くの影響を受けていることが指摘されている。鑑真がもたらした新技法によると考えられる唐招提寺の木彫群などに始まり、神護寺薬師如来立像(国宝)など、どっしりとした量感と材の厚みを生かした深い彫り、鎬立った衣文線を持ち味とした名品が多い。古くは榧を用いていたが、平安時代に入ると次第に檜が一般的な部材とされるようになった。
【参照項目】➡寄木造
【執筆者:近藤謙】