一巻。良栄理本撰。名越派において、三心具足してもすべての者が往生できるわけではないと主張する理由を撰した書。本願の名号は起行であるため三心は自ずと具足する。非本願の雑行は難劣であるから堪能のものは起行を強く行じ、安心を堅く具して往生するが、下根の者は起行がゆるく、安心は弱いため往生することができないことを問答形式で説いている。これに対して聖冏は『心具決定往生義』を著している。
【所収】続浄一〇
【参考】玉山成元「名越派とその叢書 解説」(『浄土宗典籍研究』山喜房仏書林、一九七五)
【参照項目】➡心具不生義
【執筆者:田中芳道】