宋・無功叟王闐むこうそおうてん編纂。成立年代不詳。王闐と客との浄土教に関する一〇問答を採録したもの。本書はすでに散逸しているが、『楽邦文類』や『仏祖統紀』に「浄土自信録序」と「浄土自信録記」が収載されており、その内容の一端をうかがうことができる。王闐は四明慈渓の人で晩年専ら念仏に帰し、臨終には異香を感じて西化したと伝えられる人物で、その浄土教は天台の四種浄土説を説き、浄土往生の行業として、黙して本心を照らす正観と万行の善を修する助業を挙げている。
【資料】『楽邦文類』
【執筆者:吉水岳彦】