浄土三部経の研究
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどさんぶきょうのけんきゅう/浄土三部経の研究
藤田宏達著。平成一九年(二〇〇七)三月、岩波書店刊。著者は前著『原始浄土思想の研究』では、伝統教団の視点を離れ、法然によって定められた三部経の枠組みに縛られることなく、〈無量寿経〉と〈阿弥陀経〉の文献批判を通してインドの浄土教の原始期における思想を明らかにしたが、本書は、むしろ漢訳仏教圏で独自の展開を遂げた浄土教を念頭に置き、『観経』も含めた浄土思想の展開に問題意識をもってまとめられたものである。「浄土三部経」の資料については前著刊行以降新たに発見された文献を加え『観経』も取り上げ、浄土の思想として、阿弥陀仏、本願、浄土、往生、念仏の浄土教の重要なテーマを論ずる。最後にインド、チベット、中央アジア、中国、そして日本への伝来と受容、法然、親鸞に至るまでの極めて広範な浄土教展開について論じている。巻末に、「浄土三部経」としての『無量寿経』『観経』『阿弥陀経』の諸本対照表を置く。
【執筆者:齊藤舜健】