一巻。作者未詳。康和二年(一一〇〇)頃成立か。浄土教に関する四〇の論題から構成され、それらを種々の典籍を用い、問答形式で自己の見解をまとめている。この四〇の論題は、『安養抄』の八六の論題の前半部とほぼ同じである。また本書には、道誾どうぎん『観経疏』など一部分しか伝わらない典籍や、散逸して現存しない典籍が数多く引用されており、資料的にも貴重である。京都青蓮院に弘安二年(一二七九)頃の古写本が所蔵されている。
【所収】佐藤哲英『叡山浄土教の研究』資料編(百華苑、一九七九)
【執筆者:和田典善】