常行念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうぎょうねんぶつ/常行念仏
『摩訶止観』に説かれる四種三昧の中、常行三昧に見られる念仏のこと。基本的には般舟三昧に依り、九〇日を一期として身には常に行道しながら、口には阿弥陀仏の名を称え、意には阿弥陀仏を憶念して、歩歩声声念念阿弥陀仏を称念して息まざる行法のことをいう。特に意業の行法として阿弥陀仏の色身たる三十二相を順逆に念じることを明かすが、「色ならば仏に色無し」(正蔵四六・一二下)として、さらに空・仮・中の三観に進むべきことが挙げられている。このような仏身を念ずる次第は『十住毘婆沙論』に基づくが、智顗の本意はあくまでも般舟三昧に依る空三昧の体得にある。即ち「是の仏の心は、是れ我が心なれば仏を見る」(正蔵四六・一二下)として、自身の色身も本来空であり、仏も心浄であれば現前として現れ、さらにはその仏と己心は不二なることを観ずる念仏である。ただし、天台ではこのような行はすべてに通じるものであり、特別に常行念仏という言い方はしていない。
【参照項目】➡四種三昧
【執筆者:小林順彦】