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御霊信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ごりょうしんこう/御霊信仰

御霊ごりょうとは非業の死をとげ、その結果この世に未練や恨みを持つ死者の霊魂を指す。また御霊をめぐる種々の信仰御霊信仰という。平安時代の御霊では菅原道真が有名だが、道真以前にも、早良さわら親王(崇道天皇)や伊予親王なども御霊であると信じられていた。御霊は恨みをはらすために人々に疫病を振りまくことから、それらの荒ぶる霊魂を鎮め、慰撫することによって、災厄をもたらさぬように外の世界へ送るための祭礼が御霊会ごりょうえである。このような御霊信仰が平安時代には牛頭ごず天王の祭と習合し、やがて祇園御霊会として定着してゆく。平安京で行われた御霊会は、桜の花が散り始める頃から初夏にかけて町中に疫病を撒きちらす疫神を様々な芸能や歌舞を披露することによって鎮め、都の外へ送るために行われた疫神送りとしての法会であった。牛頭天王はインドでは祇園精舎の守護神とされているが、日本に移入されてからは御霊信仰と結びついていわゆる疫神とみなされるようになり、この神を祀れば疫病やその他の災厄から免れることができるとして広く民間に普及したといわれている。


【参考】柴田実編『御霊信仰』(『民衆宗教史叢書』五、雄山閣出版、一九八四)


【執筆者:八木透】