五乗斉入
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごじょうさいにゅう/五乗斉入
阿弥陀仏の本願力によって、だれでもひとしく極楽浄土に往生すること。五乗とは、人・天・声聞・縁覚・菩薩という五種類の教えであり、ここではそれぞれの教えに対応する五種類の機根を意味する。善導が「かの仏および土、すでに報なりと言わば、報法は高妙にして、小聖すら階り難し。垢障の凡夫云何が入ることを得ん」という問いを立て「もし衆生の垢障を論ぜば、実に欣趣し難し。正しく仏願に託して、以て強縁と作るに由って、五乗をして斉しく入らしむることを致す」(『観経疏』玄義分、聖典二・一八五~六/浄全二・一二上)と答えている箇所に拠る。善導は当時の阿弥陀仏信仰に対する批判を念頭に、衆生の機根のみを議論するならば凡夫が阿弥陀仏の浄土へ往生することはできないものの、阿弥陀仏の本願力が一切の根拠となることによってそれが可能になると主張している。
【参考】柴田泰山『善導教学の研究』(山喜房仏書林、二〇〇六)
【執筆者:大屋正順】