五見
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごけん/五見
五つの誤った見解。Ⓢpañca dṛṣṭayaḥ。①有身見(Ⓢsatkāya-dṛṣṭi)。実体的な自己が存在するという見解(我見)と一切の事物がその自己に属しているという見解(我所見)とを合わせたもの。②辺執見(Ⓢantagrāha-dṛṣṭi)。①の後に起こるもので、我は死後も常住である(常見)、あるいは断絶する(断見)というどちらか一方の極端に偏った見解。③邪見(Ⓢmithyā-dṛṣṭi)。因果のことわりを否定する見解。④見取見(Ⓢdṛṣṭi-parāmarśa-dṛṣṭi)。①②③をはじめとする誤った見解を真実であるとする見解。⑤戒禁取見(Ⓢśīla-vrata- parāmarśa-dṛṣṭi)。外道の戒律を実践することによって涅槃に導かれるとする見解。
【資料】『婆沙論』四九(正蔵二七)、『俱舎論』一九(正蔵二九)、『成唯識論』六(正蔵三一)
【参照項目】➡見
【執筆者:大屋正順】