空中、空間を意味する語。Ⓢākāśa。アビダルマでは五位七十五法の一つであり、無為法として分類される。すなわち「虚空は但だ無礙を以て性となす。無障なるに由るが故に、色、中において行ず」(『俱舎論』正蔵二九・一下)と定義され、虚空は、何物をも妨げないことを本質とし、それゆえ、そこで物理運動が可能となる空間のことを指す。際限や妨げのないことを喩えて「虚空の如し」ともいう。
【執筆者:石田一裕】