新纂浄土宗大辞典について
提供: 新纂浄土宗大辞典
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WEB版新纂浄土宗大辞典作成の経緯
平成28年3月14日、浄土宗から『新纂浄土宗大辞典』(以下、大辞典)が刊行されました。これは、平成14年に浄土宗総合研究所内で開始した旧版『浄土宗大辞典』(昭和49〜57年、山喜房仏書林刊)の点検作業、同16年から宗祖法然上人800年大遠忌(同23年)の記念事業としてすすめられたもので、実に14年の歳月をかけて完成いたしました。この間の事情は、大辞典の序文・編集後記に詳しいのでご参照ください。
平成14〜16年には、すでにインターネットが一般に広く用いられており、電子辞書の他、様々な辞書がネット上あるいはパソコン上で利用されていました。大辞典の編纂開始当初から、紙媒体だけでなく電子媒体による編纂や利用について言及され、CD-ROMによる提供を想定していました。しかし、刊行の時点になると、スマートフォンやタブレット端末が広く普及していたことから、電子媒体、それもネット上での活用は、時代の趨勢として当然求められるべきことであり、それは同時に、「浄土宗の教えが広く正しく普及するための一助となることを目指した」という編集方針に合致することでもありました。そこで、CD-ROM化を見送り、今般の「WEB版新纂浄土宗大辞典」(以下、WEB版)になったものです。
電子化作業は、大辞典の編纂に係わった方々に、浄土宗総合研究所「浄土宗基本典籍の電子化」プロジェクトのメンバーを交えて、作成・公開に向けて議論が進められ、WEB版の作成が具体的に進められることになりました。
WEB版と大辞典
その議論の中で、いくつかの基本方針が定められることになります。それはWEB版と大辞典との関係をどのように考えるか、という点に集約されました。
WEB版には、修正や新規項目作成、項目削除の容易さという紙媒体では実現できない特性があります。今般の大辞典刊行は、浄土学・仏教学をはじめとする学問の進展や社会の変化のために旧版の『浄土宗大辞典』の内容に大幅な変更が必要となったことが、その理由の一つに挙げられています。一般に辞典の記述は刊行の時点で固定されるものではなく、適宜修正されることが理想ですが、紙媒体ではなかなか困難です。これに対してWEB版では、修正等が容易に行えます。これには、単純な誤植の修正から、項目自体の書き直しが必要とされるところまで、様々なケースが考えられます。繰り返し修正を施した場合、WEB版と大辞典との間に乖離が発生してしまいます。また、大辞典はすべて記名原稿です。それは大辞典の信頼性を担保するものであると同時に、執筆者の承諾がなければ記事の変更ができないことになり、さらに、執筆者が変更を認めない場合はもとより、執筆者が亡くなった場合にも、記事の修正は難しくなります。
前者の問題について、WEB版を、あくまで「大辞典のWEB版」と位置づけ、WEB版新纂浄土宗大辞典 編集・管理会議を設置し、そこで修正の了承を得られた事項について、年に一度のペースで修正し、同時に修正表を公開することにいたしました。修正の容易さ(迅速さ)を犠牲にすることにはなりますが、あくまでも大辞典を主と位置づけることにいたしました。後者の問題については、同会議において対応を検討し、修正できない場合は、記述を追加する等によって対応することにしています。新規項目の作成、項目の削除についても同様です。
WEB版の可能性
WEB版のもう一つの特性に、情報の拡張性があります。これには、情報のつながりと、情報の種類という面があります。
情報のつながりは、検索とリンクで実現されます。WEB版では、記事の全文検索が可能になっています。たとえ見出し語として立項されていなくても、ある語が記事中で使用されていれば、その語が出現する項目を検出して読むことができます。また、記事中に見出し語があれば、その語から見出し語の項目をリンクを辿って読むことができます。さらに、引用文など、経典叢書等のページ数が表示されている場合、浄土宗全書(正・続)および大正新脩大藏經の引用箇所は、浄土宗全書テキストデータベース(以下、浄全DB http://jodoshuzensho.jp/ )、大正新脩大藏經テキストデータベース(http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/)を利用して本文の閲覧が可能になっています。大正新脩大藏經へのリンクは大藏經テキストデータベース研究会(SAT)のご厚意によって可能となったものです。今後、外部を含む各種のデータベースとのさらなる連携を推進したいと考えています。 WEB版は、浄全DBと連携させて使うことができます。浄全DB上で表示されたテキストを選択し、「『新纂浄土宗大辞典』で選択範囲を検索」ボタンをクリックすると、選択範囲内から、大辞典の見出し語一覧を生成します。その項目をクリックすることで、WEB版の記事を表示することができます。浄土宗の宗典は、浄土宗の伝統的な解釈に従って読むことにより正しく理解することができます。浄全DBとWEB版との連携により、浄土宗の伝統的な解釈に基づく理解が容易になります。
情報の種類は、紙媒体では表現し得ない情報を付加する可能性です。大辞典が提供するのは文字と画像による情報のみです。しかし、静止画像のみならず、項目によっては音声・動画を用いて伝えるべき内容もあり得ます。WEB版公開時点では提供しておりませんが、今後、音声や動画データを提供する可能性は検討したいと考えています。 これらの特性は、大辞典にはなかったWEB版ならではの可能性でもあります。大辞典が持つ信頼性を保持したまま、さらなる機能と利便性の向上を図りたいと考えます。
また、画像使用の権利の関係で、大辞典で提供されている画像であってもWEB版では表示されないものが多くあります。今後、権利者の了解を得ながら、可能なものについて、順次公開してまいります。
最後に
本WEB版は、いつでも、どこでも、誰でも、気軽に利用することができるものです。深遠な教えの用語だけでなく、「数珠」や「墓」などの日常的なことばも解説されています。浄土宗教師のみならず、檀信徒の皆様、浄土宗と今はまだ直接の関りのない一般の方々にも、浄土宗に関係する様々なことがらについてお調べいただき、一人でも多くの人に浄土宗の教えに触れていただきたいと願うものです。