原意は寺院の台所にあたる建物。庫裏とも書く。仏前に供える仏餉ぶっしょう、住僧の食事を調えるところ。大徳寺塔頭黄梅院(京都)、瑞巌寺(宮城)など禅宗寺院に桃山・江戸時代の古い建築遺構が多い。浄土宗本山寺院では、知恩院の大庫裏(雪香殿)・小庫裏(共に寛永一八年〔一六四一〕)、善導寺の大庫裏(寛延四年〔一七五一〕以前)が、いずれも国重要文化財の江戸時代の建物。転じて現在では、住職が居住する建物をいう。
【執筆者:金行信輔】