法然が熊谷次郎直実に宛てて記した返信。「熊谷へ遣わす書」ともいう。具体的な年号は不明であるが、九月一六日付となっている。内容から直実が関東に帰郷してからのものと考えられるので、元久二年(一二〇五)以降のものであろう。本書簡は短いながらも、直実の心遣いに対する感謝の辞からはじまり、法然が直実に必ず往生しようと思うべきであると述べている。さらに、往生はその心によるものであり、決して念仏を怠ってはならないことを記している。
【所収】昭法全五三七、聖典四・四一五
【執筆者:石田一裕】